第12話 傍観者
次の体育の授業に備えて、同じクラスの生徒たちが靴箱置き場に集まっていた。スクイ少年が姿を見つけると、女生徒たちが小声で噂話をしているのが聞こえてきた。
その時、男子生徒の声が聞こえてきた。
「スクイ、どこに行くんだよ〜」
少年は立ち止まる。
同級生に視線を向けていた。
ダンジョンに行くとは言えないな、と思っていた。
少年は適当な返事をする。
「体調が悪くてさ…」
「へぇー、そうか~。たださ、逃げたら、生徒会長に怒られるぞ〜」
男子生徒の声が聞こえると、周りの生徒たちは失笑していた。
しかし、少年は黙っていた。
これ以上、変な噂が立つのは耐えられないと感じていた。
しかし、生徒会長はあやかしのことを知っているようであった。もしかしたら、呪いのことも知っているかもしれない。そのことについては生徒会長と話をしなければならないと思っていた。
学校を出ると、少年はダンジョンの中へと足を踏み入れることにした。
そこには金槌坊たちが集まっていた。
彼らは嬉しそうな顔をしていた。
「主様、来てくれたんですね。ありがとうございます。さあ、こちらになります!!」
と、金槌坊が言う。
「いったい、何があったの?」
と、少年が尋ねた。
「突然、たくさんの蜘蛛が現れました。人間たちに怪我人は出ましたが、幸い、死亡者はいません。現在、複数の人間が蜘蛛と戦っています……」
「あの蜘蛛は何なの?」
「わかりません。今までにも低級の妖怪は時々現れていましたが、こんなに大きな蜘蛛は初めてです……」
「そうなんだ。人間たちが戦っている姿を見ることはできるかな?」
「できますよ。どうぞ、こちらへ……」
金槌坊にダンジョンを案内してもらう。
誰も気が付いていないが、全てのダンジョンはすべて繋がっている。だから、何処のダンジョンにも行くこともできるようになっていた。妖力があれば現在の居場所くらいは認識できるようになっている。まあ、暗号的に仕組まれているから、それを解読するのは難しいとは思うけど。
しばらくすると、妖力が満ちている場所に辿り着いていた。
そこから戦いの音が聞こえてきた。
たくさんの蜘蛛が動かなくなっていた。
蜘蛛の近くにはミコト生徒会長の姿があり、白い犬が蜘蛛たちと戦っていた。どうやら生徒会長の能力であるらしい。瓶から白い犬を出したり、戻したりすることができるらしい。副会長は力で、書記は技で、蜘蛛たちを倒していく。2人ともフィジカルが強い。たくさんの蜘蛛を圧倒していく。戦っている姿を見ると、少年は憧れに似た感情を抱くようになっていた。
蜘蛛たちがすべて倒されていた。
ただ、まだダンジョンには大きな妖力が残っていた。
そのことに誰も気が付いていない。
異様な感じ。
少年だけが気が付いていた。
しばらく様子を気にしていたが、妖力がふっと消えてしまい、ダンジョンからはその姿が消えてしまっていた。
妖力を追いかけようか。
一瞬、少年はそんなことを考えていた。
しかし、止めることにした。
今は、生徒会長たちを確認する方が大事だと思っていた。
ダンジョンの岩陰に隠れて、生徒会長たちの後ろを付いていくことにした。しばらくすると、生徒会長は警察と話をしていた。警察と何かしらの関係があるのだろうか。話している内容までは確認することができなかった。
どうも怪しい。
警察と話をするなんて怪しすぎる。
生徒会長は警察と関係があるということか。もしかしたら、ダンジョンの秘密でも探っているのだろうか。だからこそ、しつこくつきまわっていたのか。だとすると、生徒会長に対する対応は気を付けるべきだろうと少年は思う。自分の敵であるかも含め。
そんなことが頭をもたげていた。
頭の中であれやこれやと悩んでいると、時間だけが経過していき、気が付くと放課後になっていたらしい。
◇ ◇ ◇
生徒会長に会う時間になっていた。
少年は生徒会室のドアをノックしていた。「どうぞ」と中から生徒会長の声が聞こえてくると、ゆっくりとドアを開けることにした。ドアが重い。いや、気のせいだ。生徒会長のことを確認しなくてはならない。
「やあ、来てくれたんだね」
生徒会長が笑顔で少年を迎えていた。
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