第10話 ダンジョンの映像
市内にあるスピーカーから、市内の緊急警報が鳴り響いていた。
「緊急警報です!! ダンジョンで不審な生物が見つかりました。絶対、家から出ないでください!!」
少年は屋上からグラウンドを眺めていた。
気づけば、市内は妖力で満ち溢れていた。その時、彼の頭にダンジョンの映像が浮かんだ。
金槌坊の視点とリンクするような感覚に襲われた。
ダンジョンの映像をみつめていた。
どうやら、ダンジョンの中に禍々しい力が集まってきているらしい。何かが生まれようとしているな違和感が残っていた。
これは何だろうか…。
蜘蛛だ。
ダンジョンには蜘蛛がいた。
ダンジョンで、多くの蜘蛛たちが現れようとしていた。
蜘蛛たちが人々を襲っている。
その時、少年は頭に激しい痛みを感じた。
映像は途切れていた。
金槌坊に何かが起こったのかもしれない。
映像が途切れると、少年はグラウンドに目を向けていた。
ミコト生徒会長、副会長、そして書記の二人が学校の外へと走り出していた。
ダンジョンに向かったのかもしれない。
妖力を持っているようだから、蜘蛛退治くらいはできるのだろう。
段々、市内全域が妖力で満たされていく。
その時、少年は自分の内側にも妖力が満たされていくのを感じていた。
サイレンの音が聞こえている。
音を聞きながら、少年は不安な気持ちを抱えていた。
◇ ◇ ◇
「おい、大丈夫か!?」
と不良生徒の声が聞こえた。
少年は生徒たちの方に視線を向けた。すっかり忘れていた。
妖力によって吹き飛ばされた生徒が一人がいた。
ずっと、倒れている。
意識を失い、生徒の右手がおかしな方向を向いていた。
骨折しているかもしれない。
「いったい、どうしちまったんだよ!?」
不良生徒たちが集まっていた。
彼らは困惑していた。
「スクイ、お前、いったい何をしやがった!」
不良の一人がスクイ少年の襟を掴んでいた。
少年は掴まれた腕を解こうとした。
力を入れると、
「いってっなーーーーーーー!」
と、生徒が腕を放していた。
指が折れている。
「くそっ、許せねーな。そんなことをして許されると思うなよ!」
と、怒りに満ちた顔で不良生徒が再び殴ろうとした。
少年は内心でため息をつきながら、攻撃を避け、相手を躓かせることを考えていた。
その時、屋上のドアから大きな声が響いていた。
「お前ら〜、そんなところで何をしているんだ〜〜〜〜!!」
と、教師の声が聞こえてきた。
すると、男子生徒たちは笑みを浮かべ、驚いたふりをしていた。
「や、やべぇ、山田のセンコーが来た!」
「おいっ、もう行くぞ!!!」と、彼らは慌てて階段を駆け下りていった。
屋上には誰もいなくなった。
山田という教師がゆっくりと屋上へと歩いてきた。
先生はニヤニヤと笑っており、その笑顔はスクイ少年にとって不快でしかなかった。
しかし、どう対処していいかわからない。
頭を下げていると、教師が少年のすぐそばまで近づいてきた。
「おい、スクイ、またお前、イジメられていたのか?」
「いえ、そんなことはないです...」
「そうか……」
と、山田先生は言い、その場に立ち尽くしていた。
突然、山田先生の体が震え、目の焦点が合っていなかった。
妖気を纏い始めていた。
山田先生は誰かに操られているようであった。
「お、オレは、お前を許さない……」
と、山田先生の声が聞こえた。しかし、それはもはや教師のものではないようだった。
「先生、何を言っているんですか?」
と、少年が訊ねていた。
「な…、なるほど、オレがわからないと言うのか…。お前のせいでオレの魂が蘇ってしまったんだ。それを許すことができないと言っているんだ!!」
山田先生はあやかしに操られているらしい。
スクイ少年は黙っていた。
何を話したところで、意味などないことを知っているせいだ。
少年はドアの方に歩いていく。
「待て! 話は済んでないぞ!!!」
その時、山田先生の声がした。
スクイは無視をした。
この世界には、どうでもいいことが多すぎる、と思う。
これからダンジョンに行かなくてはならなかった。
そう思いながら、少年が言う。
「大丈夫です。あなたはあやかしなんですよね? これから会いに行きますよ…」
その時、少年は真剣な顔をしていた。
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