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彼女

作者: 京塚浩一

彼女が浮気した。

彼女がシャワーを使っている時に

彼女の携帯に

男から通知が来た。


少し前から気づいていた。


でも彼女に言えなかった。

離れたくなかった。

彼女を抱いている時

このまま時間が

止まればいいと思った。


彼女に連絡が取れなくなった。

息が苦しい。

彼女の笑顔。


彼女から

「会いたい」って連絡が来た。


会って彼女を抱いた。


彼女は俺に抱かれても

「好き」と言わなかった。


彼女の白い背中に言った。


「なんで……

他の男と会ってるの?」


「知ってるの?」


彼女の白い背中。


俺は言った。

「そんなことするの……嫌だ」


うつむいた背中。


「ねえ」


「私のこと本当に好き?」


言葉が出ない。

息が苦しい。



彼女に電話した。


「もう好きじゃなくなった。

別れたい」


彼女は泣いた。


「どうして別れるの?

嫌いになった?

私を抱きたかっただけ?」


固まったままの指で

彼女の連絡先をブロックした。



男友達と飲みに行った。

女の子二人連れに声をかけた。


居酒屋で4人で飲んだ。


髪が長くて

少しウェーブがかかった子を

俺は外に連れ出した。


茶色の瞳をした優しそうな子だった。


しばらく歩いて

路地裏のホテルの前で彼女の肩を抱いた。

「入ろう」


「いきなりこんな所、嫌」


何度か誘った後

「分かったよ」と言って彼女から離れた。


「送って行くよ」


俺は歩き出した。


「待って」


振り返った。

彼女がうつむいた。


ホテルで彼女を抱いた。


大きな茶色の瞳が何度も俺を見つめた。


二人でホテルを出た。

無言のまま

駅の方へ一緒に歩いた。


彼女の手が俺の腕に触れた。

俺は何も言わなかった。


「やっぱり、こんな感じなんだね」

彼女がうつむいて笑った。


駅前で別れた。

連絡先も聞かなかった。



気づいたら

自分の部屋にいた。


ベッドにもたれかかった。


タバコに火をつけて

目を閉じた。


茶色の瞳が

俺を見つめた。


元カノの

笑顔が浮かんだ。


なあ、俺ってクズだよな。


元カノの笑顔に言った。


お前もクズだよ。

ゴミクズだよ。


涙があふれた。


茶色の瞳と

元カノの笑顔が

にじんで

消えた。

  (完)

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