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プロローグ
バスララントの地は広大だ。
多くの民族がひしめき合い、様々の魔物が生息している。
そのバスララントの地を南北に貫いているのが、通称「南北街道」だ。この街道は、古くから大陸を直線に横断していて、様々な民族に利用されている。
そして、現在に至るまで、この街道は商業、文化、歴史に多大な影響を与えてきた。例えば、戦争の理由を紐解いてみれば、この街道が原因だったというのも珍しくもない。この街道は産業の中心であり、大陸にとって必要不可欠なのだ。
しかし、この街道が「なぜ作られたのか?」というのは、実は明らかになっていない。各地の伝承を紐解くと「アレックス・カサンドラニア」という名前が頻繁に出てくるが、依然として彼の行動理由は不明である。
とある宗派の経典では、彼が「信託を受けた者である」と記されているのは有名である。しかし、彼の名前が指名手配された記録も、別の王国には残されている。
アレックス・カサンドラニア……
彼ほど、謎の多い人物は存在しない。そして、彼が作った南北街道も、歴史上、謎が多い建造物の1つである。