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異世界転移の寄生虫(パラサイト)  作者: 黄田田
第1章:寄生虫の世界 A cruel world
6/25

analyze

(こりゃ無理だ。これは無理だ。これは勝てん)


舞村は暗い闇の中を全力で駆けていた。奴らから逃げるために


(あんなものに勝てるわけがない、まさか成長してるなんて知らねーよ!)


初めから挑まなければよかったのに


舞村はその逃げ足だけ速い、いや寄生されたことで強化された身体能力でなんとか背後の“

“ヤバイ”連中からは逃れえることができた


「はぁ、はぁこりゃ反省会だな…」


閑話休題


(まず調査してわかったのは、やつらは悠長に特性を調べられるほど甘くないってことだ。接近したらすぐに察知してとんでもない速さで襲ってくるし、その索敵範囲も広い。背後から襲うなんてことはできないな)


(そしてやつらは日ごとに成長するということだ。ついこの前まで幼虫だった連中が今はもう大型の凶暴な個体まで成長してやがる)


情報をまとめよう


(やつらの成長、進化には何回か段階がある。ステージでもつけるか、寄生ステージと言おう)


(寄生ステージ1。最初の段階、寄生とつけたがこの段階ではまだ寄生はしてない。幼虫型の最初の個体だ。おれが体内にとりこんだのもこいつだな…。寄生虫の赤ん坊だ、寄生行動はしてくるが基本無害)


(で、次寄生スーテジ2。こっから厄介になってくる。この段階でもまだ寄生はしてないんだが、攻撃してくる。食らわなかったがおそらく毒だろう、蜘蛛型で、浜辺でおれを襲った連中もこいつらだ。集団で囲んで遠距離攻撃もしてくるかなり嫌なやつだ。見た目もキモいし、普通に寄生行動もしてくる)


(おまけに最悪なのがこいつらマジで夜ならどこにでもいる。今日一夜で何匹いた!?ってレベルでいる。あちこちから奇襲してくるうえ、空母型…爆発してこいつらを中から大量発生させるやつもいるから一匹いたら百匹いると思え)


(寄生ステージ3…実をいうと、この段階はまだ見てない。おれの推測だ。やつらの成長があんまりにも早いもんだから必ずこの段階があると結論づけた。もとになった生物…この環境だと恐竜か、それが寄生されて変異した最初の段階だ)


(で、一番問題なのが次の寄生ステージ4。こっから見た目異形になってくる。虫でも恐竜でもない…恐竜要素がある個体もいたが、なんというか化け物だ。寄生ステージ3の連中が殺しあうだか、食ってとりこむだか融合されるだかして生まれる大型個体)


(最初に遭遇した口だけの怪物もこの段階だろう。空母型、爆発してステージ2の蜘蛛型をまき散らすやつらも大きさからしてステージ4に分類されると思う。このジャングルの夜を悪夢たらしめている元凶だ)


ある程度探索してわかった情報がこれだった。昼は恐竜たちが闊歩して、夜は異形どもがむさぼり狂い、成長する。それがこの大陸の実態だった


そう---、大陸


(おれは最初てっきりここは島かなんかだと思ったんだがあの浜辺の感じと、どれだけ高い樹や丘に登っても果てが見えない感じ、ちっちゃい島とかでは絶対にないんだよな)


(おそらくこっち側が東だから、あの浜辺が最東端。アフリカ大陸みたいな地形だと思うがどうだろうな)


舞村の予想は当たっている。舞村はこの世界の4つの大陸のうち、一つに降り立っていた


(とりあえずスーテジ4の連中は戦って勝てるとかそういう次元の話じゃない。恐ろしくてそれ以上進めなかったが、ジャングルの中腹…西側にはもっと異様な雰囲気もしたし軽はずみに動いたら駄目だ。特に夜は、絶対に)


とりあえず今は浜辺近くのジャングルの出口近辺でひっそりと野営するのが一番いいという結論になった


(浜辺そのものには空母型、他の飛んでる化け物もウヨウヨいるから近づけないんですけれどね…)





結局あの後も襲撃されて地獄の夜となったが、なんとか昼間になったので舞村はいろいろと食料調達やらなんやらで動きまわっていたのだが、あることに気づいた


あれ?これ食料調達する必要なくね、と。寄生されてから一向に腹が減ったことがないのだ、昨日食った変な植物一個で全然もっている。初日のようにすぐ脱水症状になって水を求めるといったこともない。こんなに暑いのに


身体が完全に人外になったのが、それとも環境に適応しているのか、前者だろうなと舞村は思った


人はそう簡単に変わらない


かといって昼間、寄生虫どもがいないのに何もしないのも何なので訓練することにした


恐竜との大立ち回りである


「オラァ!」

「ギャッ!!」


空中に飛び上がった舞村が肉食竜の顎を蹴り上げる。そして怯んだすきに、即座に着地して溜めたあと


竜爪(りゅうそう)


首筋に狙いを定めて爪で切り裂く


寄生されたことで異形と化した右手の爪は、加速することで恐竜の厚い鱗だろうといとも簡単に切り裂けるような破壊力を持っていた。それでいていつでも元の形に縮小できるのだから便利なものである


どどーんと首から血を垂れ流しながら地に倒れる肉食竜


「すげー!おれすげー!!!!」


それを見た舞村は狂喜乱舞した


ついこの前までは生態ピラミッド最下層の男が、今はギリギリ中堅くらいにいるのだから、寄生虫の真価の恐ろしさがわかる


(身体能力の上昇、それに伴った骨肉の増強。増幅された五感に、食事も水本補給もほとんど必要なしと来た。で、極めつけは…)


肉食竜から受けた傷がみるみると治っていく


(圧倒的な再生能力。はっきりいってノーマルな恐竜相手には負ける気がしないね)


与えられた力でイキるほど滑稽なものはないが、寄生されてイキるとはこれいかに、食事制限もなしに栄養をサナダムシに吸い取ってもらってダイエットしているようなものだろう


(自然保護団体とかは怒るだろうなぁ…まぁ狩りは人間の遺伝子まで結びついた本能だから仕方ないね)


忘れるなかれ、ノーマルな恐竜相手には、である。寄生されて変異したステージ3の恐竜相手にはどうなるかわかったものじゃない。舞村はそこを軽んじている


そして強大な力にはそれ相応のデメリットというものがある


「うっ!!!」


簡単に力が手に入るなど甘くない


(なんだ?急に体が、、、くそっ!!)


ほら、来た


「腹が…腹が…!!!!」







「猛烈に減った…」








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