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エピローグ

「おい、令。しっかりしろよ! もうホームルーム終わったぞ」


 瞬のその声で俺は我に帰った。


「……何だ、もう終わってたのか」


 祈が去ってから、一週間近くが経った。


 その期間は、俺に真実を突きつけるには十分すぎる時間だった。祈はもう居ない。それは紛れもない事実だし、受け入れなければいけない事でもある。


 祈と出会う前に戻っただけ、そう思えば、いいはずだった。


 日常が戻ってきた。少し前までの命のやり取りが、嘘だったかのように。


 この日常は、望んでいた事だけど。


「最近おかしいぜ。どうかしたのか?」


「……」


「令!」


「……何か言ったか?」


「お前な……」


 瞬や有紗が言うには、今の俺は危なっかしいらしい。


 ぼーっとしてるのは、自分でも分かってる。


 実際の所、今だって、ホームルームが終わったのにも、気づかなかった。教室には、俺達三人以外は誰もいない。


「ほっといてくれ」


 一人教室を出る。


 どこへともなく、歩く。真っ直ぐに家には帰らなかった。


「令!」


 有紗が後ろから、追ってきた。


「……部活はどうしたんだよ、有紗」


「令、話全く聞いてなかったでしょ」


 何の事だ? そう訊こうとしたが、それよりも先に有紗がこう言った。


「今日は部活ないから、皆で集まろうって」


「皆で集まる? 何で?」


「令、それ本気で言ってる?」


 有紗が何を言いたいのか、全く分からなかった。


「じゃあな。しばらくほっといてくれって」 


 その場に有紗を残し、俺は自宅へと向かった。


 祈は、表向きは急な転校という事になっている。一体、どういう情報操作を行ったのか。


 いきなり来て嵐のように去っていった祈を、何人かは怪しく思ったようだが、そう大きな問題は起こらなかった。


 祈の話題は全くといっていいほど出なかった。瞬や有紗が言って、皆に気をつかってくれているのだろう。


 祈がいなくなると同時期に塞ぎ込んだんだから、いくら何でもバレるだろう。


 真っ直ぐ帰って不貞寝したら、夜に目が覚めた。




 ここ一週間で、夜の街に徘徊するのが日課になっていた。


 まるで、少女の幻を探すかのように。


(ああやっぱ俺、祈の事が好きなんだな……)


 そんな事を考えていた時だった。


 ――誰か来る!!


 結局能力は封印されなかったので、今でも能力は使えた。ただし、変な奴に目をつけられないように極力使わないようにしていたが。


 それでも、ある程度なら気配を感知する事ができる。今やったのがそれだ。


「誰だ!?」


「レイ」


 聞いた事のある声が聞こえてきた。


「……いの、り?」


 振り返るとそこに、祈がいた。


「……うん」


 機関のコート姿の少女がそこにいた。


「どうして……ここに?」


 かろうじて、それだけ訊いた。


「無理言って来た」


 それで十分だった。言葉はいらない。俺は祈を抱きしめた。





「すぐ、帰るのか?」


「違うの。ずっと、こっちに――」


 その時、強い風が吹いて、祈の言葉をかき消した。


「何だって?」


「ずっと……ずっとこっちにいられるようになったの」


 祈のその一言を理解するのに、十数秒掛かった。


「それって、つまり……」


「これからも、一緒」


「……本当か?」


 思わず聞き返す。


「本当に」


「……それじゃ、機関は辞めるのか?」


「それは無理。わたしはこの世界を専属で守る事になったから、こっちにいられるの。こっちにいれば、レイを守れるから……」


 祈はそう言って、右手を前へ差し出した。


「……これからも、よろしく」


 俺は差し出された手を固く握った。


「ああ、よろしく」


 そう言って、俺達は揃って歩き出した。


    ~Fin~

いざエピローグを書こうとした時の事です。


何か引っかかって、今まで投稿した話を読み返したら。


……エピローグで使おうと思った話の伏線を張り忘れている事に気がつきました……。


泣く泣くカットです。そのせいでエピローグがかなり短くなっております……。


気付いた時にはものすごく焦りました。

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