2 アリステア大戦勃発
◇◇◇
「何!?アリステア王国が周辺国家に宣戦布告……その情報は本当か?」
カミールは思わず席を立った。
「はい。間違いございません。ここ何カ月か傭兵や下級兵をあちこちで募集しており、冒険者ギルドにおいても腕の立つ冒険者全員に声が掛かっています。おそらく、数カ月のちに正式な宣戦布告が行われるでしょう。大義名分は大陸の平定ですが、実際の目的は食料や資源の略奪。アリステア王国は、ここ数年の飢饉や度重なる魔物の襲撃で国力が低下し、かなり追い詰められている状況です」
アリステア王国はここ最近不穏な動きを見せていた。具体的には、神官や聖女たちの強制帰国、教会への支援金の大幅増加など。王宮神官であり聖人であるエリックにも、早急な帰国を促す催促がたびたび来るようになった。
今まで放っておいた第二王子に執着を見せるのはなぜなのか。そこでカミールは、信頼のおける冒険者に依頼してアリステア王国の動向を探らせていたのだが、事態は想像以上に深刻だった。
「遂にこのときがきてしまったか……」
アリシア王国が平和な発展を遂げている一方で、海を挟んだ大陸では、もう何年も各国のにらみ合いが続いている状況だった。どこの国も不作と魔物の被害は深刻だ。自国の民を護るため、周辺諸国の富を狙う国が出てきても不思議ではない。
「アリステア王国の周辺国家、並びにノイエ王国では、武器や魔道具の輸入が活発に行われており、すでに多くの民が徴兵されているとのことです。冒険者や傭兵も募集を掛けているそうで、各国から褒賞目当ての者たちがぞくぞくと詰めかけているとのこと」
「獣人たちの動きはどうだ?」
「アリシア王国の獣人たちは今のところ静観を決めていますが、国外の獣人奴隷たちは多くが戦争に参加することが予想されます。同胞の危機に立ち上がろうと思うものがいても不思議ではありませんね……」
「大国同士の戦争は犠牲が大きい。なんとか戦争を回避できないだろうか……」
カミールの言葉に、冒険者は一瞬躊躇したのち、意を決したように話し出した。
「実は、これは確かな情報ではないのですが……アリステア王国はとんでもない兵器を隠し持っていると情報が流れているのです。国力の落ちているアリステア王国が宣戦布告したのは、その兵器に絶大な自信を持っているからだと」
「兵器……」
冒険者の言葉にカミールは首を傾げる。
「強力な魔道具の類だろうか」
カミールの言葉に冒険者は頭を振った。
「いえ、噂では……代々アリステア王国を守護するドラゴンだということです」
「ドラゴン……」
冒険者の言葉にカミールは言葉を無くした。
更新ながらくお待たせしちゃってすみませんでした~!
















