1 王女様はお年頃!?
◇◇◇
「エリック!じいやっ!そっちにいったよっ!」
「お任せくださいっ!」
「まだまだ若いもんには負けませんぞっ!」
「ジャイル!ミハエル!あっちのトドメよろしくっ!」
「よっと、任せとけっ!」
「逃がさないよ?」
冒険者の森では今日も名物パーティーの元気な掛け声が響いている。ティアラ16歳。アリシア王国第三王女であるティアラ率いる『女神の祈り』は今や国を代表するAランクパーティーにまで成長を遂げていた。
高い回復能力を持つティアラとエリックに加えて攻撃能力の高いジャイルとミハエル、サポート役のセバスというバランスの取れたパーティー構成によって、冒険者として着実に成果を上げている。他の国からも一目おかれる存在だ。
一仕事終えた一行はいましがた狩ったばかりの魔物をマジックバッグにポンポンと収納していく。マジックバッグは高級品ではあるが、冒険者には欠かせないアイテムのひとつだ。
パーティーのメンバーは冒険者として国からのお金に頼らずに活動していたため、6年前はまだ誰も手にすることができなかった。しかし、ティアラの12才の誕生日にミハエルがお手製のマジックバッグを作成したことでスキルが身につき、今ではパーティー全員が装備できるようになったのだ。
ミハエルが作ったマジックバッグは特別製で、一度マジックバッグに入れると再び取り出すまで入れたときの状態をそのまま保つことができる。また、収納したいものに触れ『収納』と声をかけるだけで自動で収納し、取り出したいものを選んで『取り出し』と言うだけで取り出せるなど扱いも簡単だ。
しかし、何よりも凄いのはその収納量である。どんなに魔物を入れても一杯になるということがない。開発者であるミハエルですらその容量は把握していないというから驚きだ。その気になれば狩った魔物を一生分収納しておくことも可能だろう。
「ふう。マジックバッグが使えるようになってから本当に便利ね」
「だな。いちいちギルドに戻らなくていい分無駄がない」
「まっことミハエル坊ちゃんの腕は大したもんですなぁ!」
「モンスターパレードには欠かせないアイテムですね」
皆が口々にほめる言葉にミハエルは爽やかに微笑む。
「討伐のたびにいちいちほかの冒険者の手を借りるのも面倒だからね」
ティアラたちは最初のモンスターパレードからずっと、森の治安維持のために定期的なパトロールを行っている。
あれから年に数回の頻度で魔物が爆発的に発生するようになった。原因はいまだ不明だがその頻度は次第に高くなっている。フィリップを探しに行きたいと思いつつ、この国を守るためにはこの場所を離れることもできない。こうしたジレンマを抱えながら六年の年月が過ぎていた。
相変わらず膨大な魔力を持つはずのフィリップの気配は感じられない。それでも簡単に諦めることなんてできない。なぜならフィリップはティアラにとって特別な存在だから。
前世で交わした約束を、ティアラは守りたかった。あのとき自分の命をかけたことを後悔はしていないけど、フィリップをたった一人おいていってしまったことは今も後悔している。フィリップは長い孤独のときをどんな思いで過ごしているのだろうか。
(あの子はとても、甘えん坊だったから……)
蜂蜜を溶かしたような甘い金の瞳を思い出す。この6年で冒険者として実力を磨いたティアラは、前世の全盛期と変わらないまでに力を取り戻した。今のティアラは前世と変わらない魔力量を持っている。フィリップの魔力がどんなに小さくなっていても、今ならきっと探し出せるだろう。
フィリップ、待ってて!きっときっと探しにいくよっ!
だが、ティアラたちを取り巻く状況がすっかり変わってしまったのは、そのすぐ後のことだった。
ティアラ16歳
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