2 エリックの実力
◇◇◇
「姫さんは、その回復魔法だけでSランクでもいいかもしれんが……だがなぁ、Sランクになると断れない依頼や戦争に駆り出されることもある。俺はお勧めしないな」
「んーと、私戦争にはいきたくありません」
「よし!年齢も考慮してここはCランクにしておこう!」
「ありがとうございます!」
「だが……もし、クエストなんかで重傷者が出たときは、力を貸してくれないだろうか」
「もちろんです!いつでも任せてください!」
「こいつは頼もしいな。ありがとうよ姫さん、頼りにしてるぜ。さてと、神官様はどうすっかなぁ。後日改めてテストをするか、もっと怪我人を探してくるか……」
「では私は別の魔法で試験を受けましょうか?」
「なに!?神官様も別の魔法が使えるのかい?」
「そうですね。ちよっと失礼?」
そうしてエリックがガイルの手を取ると、
「うわっ!!!な、なんだ!?」
「ふふ、電気です。」
「で、電気?」
「今、体に極微量の電気を流しました。肩こりや腰痛の改善にいいんですよ?自然治癒力を上げて病気やけがの治りを改善させる効果も期待できます」
「は、はぁ、なるほど。ビリッときたから驚いたぜ。でも、ああ、意外と気持ちいいかもしれないな。これも回復魔法の一種なのか?」
「普通の回復魔法も使えますけどね」
「よし!神官様も文句なくCランクだな!」
「ありがとうございます」
エリックはにっこり笑って答える。
「ねえねえ?」
「なんですか?」
ティアラがエリックにそっと耳打ちする。
「雷撃見せなくてよかったの?エリックならSランクになれると思うよ?」
「ふふ、私は冒険者として認められたい訳ではなく、ティアラ、あなたのそばにいたいだけですから。同じランクでちょうどいいのですよ」
「そ、そっか……」
エリックの言葉に真っ赤になるティアラ。
「さ、皆さん首を長くして待ってますよ。いきましょうか?」
「うんっ!」
◇◇◇
「おーい、ティアラ、どうだった!?」
地下闘技場から出るとジャイルが手を上げて出迎えてくれた。
「えっへん!ジャイルやミハエルと一緒のCランクになれたよ!」
「おっ!じゃあ早速パーティー組めるな!」
「パーティー?」
「単独で活動する冒険者もいるけど、パーティーとして活動する冒険者の方が多いんだよ。パーティーでしか受けられないクエストもあるからね。エリック様はどうでしたか?」
「私もCランクでしたよ」
「じいやは今何ランクなの?」
「ワシも今Cランクですじゃ。Bランクになると長期の遠征もあるので孫たちも心配しますでな。あえてCランクに留まっております」
「そっか、アンドレ心配してたしね」
「うしっ!じゃあこのメンバーでパーティー登録だな。全員Cランクのパーティーじゃあ、ギルドとしてもむちゃな依頼はしねーだろーしな」
アデルがそれぞれの顔を見て頷く。
「アデルお兄さまとカミールお兄さまも誰かとパーティーを組んでるの?」
「俺達は基本ひとりで参加してるな。いざとなったらクエストによって臨時パーティーを結成することもできるし」
「なるほど」
「空いてるときはなるべく俺が一緒に行ってやるから大丈夫だ!」
アデルが胸を叩くと
「えー?保護者付きとかダセェ」
「心配しなくてもそんなに危険な依頼は受けませんよ?」
ジャイルとミハエルが口々に不満を漏らす。
「ふふ、大丈夫。私がついてますよ?」
さらに、さり気なくティアラの肩に手をやるエリックをみて、
「あ!エリック!ティアラにベタベタ触んなよなっ!」
「エリック様、セクハラです」
と素早い突っ込みを入れている。
「お前らがこの調子だから心配なんだろーが」
アデルがため息をつくと、
「なぁーに、アデル坊ちゃん、このセバスめにお任せあれ!姫様の貞操はワシがしっかりお守りしますぞっ!」
セバスが手に持った槍をドンっと床に打ち付ける。
「じいや、頼んだぞ!お前だけが頼りだっ!」
「失礼だなっ!俺は変なことなんかしないぞっ!ティアラが俺に惚れるのはしょうがねーけどな?」
「僕もですっ!ちゃんと好きになって貰えるように努力してます!」
「私はティアラのそばにいられるだけで幸せですから」
相変わらずの三人に頭を抱えるアデルだった。
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