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1 冒険者ギルドにいこう!

お待たせしました!第二章、冒険編のスタートです!

 

 ◇◇◇


「なぁティアラ、本当に冒険者になる気なのかい?」


 ティアラ10歳。今日は待ちに待った冒険者登録の日だ。ティアラは朝から冒険者の衣装に身を包み、準備万端に整えていた。


「もちろん!この日のために頑張りましたっ!」


 胸を張るティアラにカミールは複雑そうな顔をしている。


「ティアラが強いのは知っているが、王女であるティアラが無理に冒険者になる必要はないんだよ?姉さんたちも冒険者登録はしていなかったし……」


「大丈夫だって!俺達もついてるしなっ!」


「はいっ!ティアラのことは、僕達がしっかり守ります!」


 ジャイルとミハエルの言葉にアデルが破顔する。


「ジャイルとミハエルはすでに冒険者としてCランクに認定されてるしな!よく頑張ったぞ!」


「へへ~、師匠の弟子として当然だぜっ!」


「僕の魔道具はなかなかのものですよ?」


 ジャイルとミハエルは二年前から一足先に冒険者として活動している。14歳になった今ではCランクの冒険者として魔物の討伐も任される活躍ぶりだ。


「私もお忘れなく」


 戦闘用の神官の正装に身を包んだエリックがにっこりと微笑んだ。


「本当にエリックも冒険者になるの?」


「もちろんです。ティアラには傷一つ付けさせません」


 二年の間にティアラとエリックとの距離もぐっと縮まり、今や名前で呼び合う仲になった。ただし、エリックのティアラへのリスペクトぶりは健在だ。


「ワシもお忘れなく!」


「じいや!来てくれたの!?」


 ひょっこりドアから顔を出したのは冒険者として活躍中のセバスだ。


「ホッホッ、姫様が冒険者になるとお聞きしましてな。この老骨、最後のご奉公と思うて馳せ参じました」


「兄貴、諦めろ。大丈夫だ、なるべく俺もついて行くから」


「はぁ……みんな、くれぐれもティアラが暴走しないように見張っててくれ。本当に、頼んだよ?」


「カミールお兄様は本当に心配性ねっ!」


 こうしてティアラ一行は冒険者ギルドに向かった。


 ◇◇◇


「初めての冒険者登録ですね?ではまず、ギルドカードをお作りしますのでこちらにご記入をお願いします」


 ギルドで受付嬢から一通りの案内を聞くと、手続きを済ませていく。


「冒険者ギルドではランクアップ制度がございます。テストを受けると実力に合わせたランクから始めることができますが、どうされますか?」


「ランクアップ試験を受けますっ!」


「私もお願いします」


 ティアラとエリックが返事をすると受付嬢は笑顔で頷いた。


「はい。じゃあ試験会場にご案内しますね」



 ◇◇◇


 ティアラとエリックは冒険者ギルドの地下にある魔力障壁で覆われた地下闘技場に案内された。


「こちらで魔法や武術を使ってそれぞれの実力を示していただきます。ギルドマスターに認められると実力に相応しいランクにランクアップできます」


「ギルドマスターのガイルだ。よろしくな」


「ティアラです。よろしくお願いします」


「エリックです。よろしくお願いしますね」


「姫様に神官様か。まずはお手並み拝見といこうか。どっちからやる?」


「では、ティアラからどうぞ」


「はいっ!えーと、どんな魔法がいいのかな?」


「姫さんは魔法特化型か。まぁそうだろうな。回復魔法の使い手だと聞いたが?」


「そうですね。回復魔法も使えます」


()()()()()ってことは他の魔法も使えるのかい?」


「はい」


「そいつはすげえな。回復魔法が使えるだけでCランクは確実だが。もっと上を目指すかい?」


「んーっと、Cランクあれば国外のクエストも受けられるんですよね?」


「ああ、Cクラスからは一人前だな。王族は大体Cクラスからスタートするぞ?」


「じゃあCクラスでいいです」


「OK。じゃあマリア、誰か怪我してる奴がいねーか上で声掛けてきてくれ」


「はい、マスター」


「ちょっといいですか?」


「なんだい神官様」


「私も回復魔法が使えるので2人以上お願いできますか?」


「ああ、神官様だもんな。マリア、2人以上だ」


「はい」


 ◇◇◇


 受付嬢に連れられてきた冒険者は全部で15人。中には腕をなくした人もいた。


「おい、2人以上とは言ったがこれは多すぎだろう?」


「申し訳ありませんマスター。希少な回復魔法をかけて頂けるとあって申し込みが殺到してしまって。乱闘に発展しそうでしたので、とりあえず希望者全員つれてきてしまいました。」


「はぁ、しょうがねえなぁ。じゃあ、この中から選んでもらえるか?」


「いいですよ。全員癒やしますね」


「全員?いくらなんでも……」


「パーフェクトヒール!」


 ティアラの指先から虹色の光が溢れると、その場にいた全員が目を見張った。


「え?一度に癒せるのか?」


「嘘だろ?治ってるぞ」


「おい!ロイの奴みてみろよ!」


「信じらんねぇ……腕が生えてやがる」


 冒険者達が呆然とする中、


「あっ!いけない!エリックのテストがあるの忘れてた!」


「ふふ、ティアラはおっちょこちょいですね。でもそんなところも可愛いですよ」


 のんきな2人を見てギルドマスターが頭をかかえていた。



挿絵(By みてみん)


キャラデザイン:四月咲香月さま

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