22 パーティーの準備は華やかに
◇◇◇
パーティーの当日。ティアラは朝から大忙しだった。何しろ今回の主役である!普段は動きやすいシンプルなワンピースを愛用しているティアラだが、今日は朝からしっかりドレスを身にまとっていた。
腰まで伸びた淡い金髪の髪はそのまま下ろし、頭の上には小さなティアラをちょこんと乗せられている。けぶるような長いまつげに縁取られたアメジストの瞳に合う、プラチナと真珠、アメジストでできたティアラは、今回ティアラのために特別に用意されたものだった。
さらに、淡い水色のシフォンを幾重にも重ねたドレスはティアラ本来の肌の白さを引き立て、妖精のような儚い美しさを演出していた。あえてティアラ以外に豪華な宝石をつけることなく、清楚で可憐なイメージを演出した王妃とアンナ渾身のプロデュースである。
「まぁ、姫様大変お美しいですわ」
「ええ、国一番の美少女に間違いございません!」
「まるで絵本の世界から抜け出してきた妖精のよう……」
うっとりとティアラを見つめるメイドさんたち。普段は厳しいアンナも満足そうに微笑んでいる。
「みんな綺麗にしてくれてありがとう!このドレスもティアラもとっても可愛い!でも、落とさずにちゃんと、踊れるかなぁ」
口々に誉めてくれるメイドさんたちに照れながらも、ティアラは、少し不安そうだ。普段走り回っているため、高価な宝石を身に付けるとドキドキしてしまう。
「大丈夫でございますよ。しっかり、髪に止めておきましたからね。ダンスをしても落ちることはありません。ただ、手で触らないように注意してくださいね」
「うんっ!今日は誰がエスコートしてくれるの?」
「今日はカミール様がエスコートしてくださいます。もうすぐ迎えにいらっしゃいますよ」
と、そこに、カミールがひょっこり顔を出した。
「ティアラ!見違えたよ!なんて可愛いんだっ!」
「カミールお兄様!えへへ、ちゃんとレディに見えますか?」
「うんうん。こんな素敵なレディは見たことがないよ。素敵なレディをエスコートする栄誉を私に与えて頂けますか?」
カミールが恭しく差し出した右手にそっと右手を重ねる。
「はい、喜んで」
にっこり微笑むティアラをみて、なぜか呻きながら左胸を抑えるカミール。
「カミールお兄様、どうなさったの?」
「う、うう、ティアラを、お嫁に出すのは嫌だなぁー……」
カミールの言葉にティアラはくすっと笑う。
「嫌だわ、今日はただのご挨拶の会よ。お嫁にいくのなんて、まだまだ遠い先のことでしょ」
(今日は実質ティアラの婚約者を選ぶ会なんだけど……)
頭では理解しつつも認めたくないカミールだった。
「ティアラ。いいかい、今日は僕のそばを離れないようにね?なるべくずっと、僕かアデルのそばにいるんだよ?」
「あら、それならお客様からダンスに誘われたときはお断りするの?」
今日は、小さなレディを御披露目するために、ダンスを披露することになっていた。すでに何人かとダンスをする事があらかじめ決まっているし、飛び入りで誘われても断りにくい。
「う、うーん、ダンスかぁー。じゃあ、ダンスが終わったらすぐに僕のそばに戻っておいで」
「お兄様は心配性ね。私も今日くらいちゃんと大人しくしてるわ。どんなお料理がでるかもとっても楽しみなの!」
「心配だなぁ」
うきうきと会場に向かうティアラを、心配そうに眺めるカミールだった。
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