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第1章 五、募る想い
航空会社の社員として空港で働く唯、
医師を目指す紘太と、初めて2人で
食事に行ったのだが、その後は…
世間は春休みに入り、
唯が繁忙期の忙しさに追われているうちに、
紘太は研修医として多忙な日々が始まっていた。
唯がメッセージを送っても、
紘太からの返信は、次の日やもっと遅い時も。
「返信遅くなってゴメン」
「充電切れたまま、病院泊まってて」
「ちょっと会う約束とか、難しいかも」
かみ合わないやり取りに募ってゆく
もどかしい気持ちを、
唯は、新入社員が入り、せわしい職場で
日々の業務にごまかし、やり過ごしていた。
ゴールデンウィークを週末に控え、
新入社員達の初めての繁忙期に備え、
準備をしていた唯に紘太からメールが届いた。
「GW、どこか1日ぐらいなら時間取れそうだけど、
忙しいかな?」
唯が待ちに待った返事だった。
「4日ならお休みなんだけど」
「じゃあ4日で!」
この短いやり取りに、
1ヶ月くすぶりつづけたモヤモヤが、スッと晴れ、
唯は至福を感じていた。
紘太との約束を思えば、
目の前の浮足立った乗客達の相手をする事も
いつも以上に楽しく思えた。