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第11章 十九、高熱で
再び石田は眠り続けた。
気付けば、また暗くなっていた。
25日の夕方で、丸一日寝ていたようだ。
体温は、まだ38.8℃だった。
時計を見やると19時過ぎ、
日下に電話してみる。
「何すか、年末は寺がめっちゃ忙しいんすけど」
そうだった…
次に、研究室の他の後輩に電話してみる。
「あれ、石田さん、忘年会始まってますよ?
来ないんなら、もうキャンセルできないんで
立て替えときますから、今度払って下さいよ」
そうだった…容赦ないな…。
って事は、研究室のメンバーは酒が入ってて、
車でうちに向かう事はできないのか。
仕方ない、旗野にかけてみるか。
「何? まだ勤務中、今ちょうど休憩中だけど」
「いや、熱が39.8℃あるんだけど、
薬もスポーツドリンクも、何もなくて…
悪いけど、仕事帰りでいいから、
買ってきてくれないか?」
「えー、大丈夫なの?
でも22時半とか過ぎちゃうよ?」
「それでも頼む。
鍵開けとくし、オートロックの暗証番号
教えるから、入ってきてくれ」