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第11章 十五、クリスマスって?
街もスーパーもコンビニも
大学の学食すらクリスマス一色に染まる中、
石田はいつも通り研究室にいた。
「なー日下、
クリスマスって24に祝うの?25に祝うの?」
日下はムッとした表情で応えた。
「は? 何なんですか、知りませんよ!
なんで僕を選んで聞くかなぁ!」
「え、何? なんで?」
「僕は寺の跡取りです。
自慢じゃないけど、
クリスマスなんて人生で一度も
祝った事ありませんのでね!
明日の24日は、うちはすす払いです。
石田さん、どうせ予定ないでしょうから
掃除、手伝って下さいよ。
仏様はちゃーんと見てるんです、
誰だか知らねぇ会った事もねぇイエスの誕生日に
イチャイチャしてねぇで、
うちで掃除しましょう。
煩悩を捨て、仏様を綺麗にして、
清々しくサイコーの年越しを約束します!」
「あ、あぁ…」
「うちの寺、分かりますよね、
来たら分かりますから!
貴重な労働力、逃しませんよ、
もう弁当、カウントしちゃいましたから
絶対来て下さいね」