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第11章 十一、振替便での出発
一人残された石田は
窓の外の滑走路に犬がいないか
目を凝らしながら定食を食べていたが、
どうやら役に立てそうもなかった。
定食を食べ終わり、
利緒が譲ってくれたコーヒーを飲む頃には
窓の外の滑走路に
飛行機が音を立てて降りてきていた。
食事を終え、
搭乗手続きカウンターに立ち寄り名乗ると、
係員は、お伺いしておりますと
素早く振替手続きを済ませてくれた。
飛行機が他空港へ行ってしまって欠航と
聞いた時には不安だったが、
利緒のお陰で首尾良く振替手続きが済んだ事を
心強く思いながら、石田は出発ゲートへ向かった。
石田と同じく振り替えられた乗客も併せて、
搭乗待合室は混み合っていた。
ゲートに利緒を見つけたが、
とても話しかけられる雰囲気ではなく、
そのまま、バタバタする利緒を横目に
出発した石田だった。