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第11章 十、トラブル
「使用機が、他の空港に行っちゃいました。
天候不良とかなら、余分の燃料も積んでるん
ですけど、今回はアクシデントだったので
そんなに上空で待てなかったみたいですね」
「えっ、じゃあ、どうなるんですか?」
「石田さんの便は欠航です」
「え? 俺、東京行けないの?」
「いえいえ、次便に振替になります」
なんだー良かったーと安心する石田を見て
少し微笑んだ利緒は言った。
「欠航と振替の処理が始まるので、
私、もう行かなきゃなんですけど、
石田さん、一人で大丈夫ですか?」
「え? 大丈夫、大丈夫!
あ、旗野が『大人なんだから一人で食え』って
言ってたヤツ?
ハハ、大丈夫、一人で食えます」
苦笑する石田に、利緒は
「振替の手続きしておくので、
後でカウンターに寄っていただけますか?
あと、食後のコーヒー、まだ来てないので
良かったら石田さん飲んでください」
と微笑んで、レストランを後にした。