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第11章 六、イルミネーションの後
利緒とイルミネーションを見に行った翌日の夜、
石田の携帯が鳴った。
通話ボタンをタップするなり
怒号が聞こえた。
「石田! あんた、加瀬ちゃんと
イルミネーション行ったの??
何、早速、手を出そうとしてんのよ!
彼女、まだ傷心なんだからね」
「手を出すなんて、酷い物言いだな。
点火式行きたかったって言ってたから
一緒に行っただけだって」
「それは彼と行きたかっただけで
あんたとは別に行きたかった訳じゃ
ないでしょ!」
「そりゃそうかもしれないけど。
まぁまぁ楽しそうだったよ?」
「そりゃ一緒に行って
つまんなそうな顔をするような子じゃ
ないからね」
「うん、まぁ、そうだろうね。
あ、そういえば次の日曜の夕方、
俺、飛行機乗るわ」
「ふーん、そう。
私はいないわ。
って話を勝手に変えないでよ」
「まぁ、お前はいなくてもいいけど」
「は? 加瀬ちゃん?
加瀬ちゃんの勤務まで知らないわ。
知ってても言わないけど」
「なんだよ、感じ悪いなぁ」
タジタジの石田に
一通り突っかかった史緒里は
また一方的に話して電話を切った。
やれやれ…と石田は
通話の切れた携帯を眺めた。