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第11章 二、呼び出し
ファミレスの駐車場に着くと、
腕組みした史緒里が待っていた。
「遅い!」
「いやいや、急いで来ましたけど?」
「こっち」
石田は少しムッとした様子でそう言うと、
史緒里は車を指差した。
そこには、困り顔の女性が立っていた。
「後輩の車なんだけど、
カメムシ、中に入っちゃって。取って」
「え?あ?おぅ…」
石田は言われるがままに、
女性がドアを開けた車を覗き込み、
自分の鞄から紙など出して虫を駆除した。
ものの1分程の事だった。
「サンキュー、助かったー!
私、カメムシはホントダメで。
石田っち、どうせ研究室にいるだろうと
思ったからさー、近いし。
じゃ、私、明日早番だから、これで」
去ろうとする史緒里を石田は呼び止めた。
「おいおい、呼びつけといて、帰るのかよ。
俺、今まで研究室で、メシまだなんだけど」