第10章 十八、小型機が恋を結ぶ滑走路
日差しは柔らかく、やや傾いていた。
「日が早くなりましたね」
「そうですね、就航時は9月の暑い盛りで、
まだ日も長かったのに、
すっかり秋の気配ですね」
「2ヶ月、あっという間でしたね」
「大塚さんには、業界の事や飛行機の事、
沢山教えていただいて、感謝しています。
一人、知らない地に放り出されて、
僕一人では、こんなに頑張れなかったです」
「いえいえ、私も楽しかったですから…」
飛行機のカーゴドアが閉まり、
搭乗客もまばらになって来たのが見えた。
夕暮れに浮かぶ滑走路を眺めながら
凛は呟いた。
「元に戻るだけなのに…
なんでこんなに淋しいんだろ」
「僕も淋しいです…」
「毎週、飲んでましたもんね」
「そうですね、
でも僕はまだ、あと1ヶ月はいますんで」
「そうですよねー、
あと1ヶ月したら、九州に戻るんですよね」
しばらくの沈黙の後、
旺太郎は決心したように言った。
「大塚さんって、遠距離、大丈夫な人ですか?」
「えっ…と…」
「僕、自社便乗って逢いに来てもいいですか?」
「はい!
私も、今度こそあの小型機に乗って、
逢いに行ってもいいですか?」
「もちろん、お待ちしてます!」
滑走路の向こう側には、
小型機の結ぶ恋が待っていた。
✈︎✈︎第10章 完✈︎✈︎
❥ ❥筆者より❥ ❥
凛と旺太郎のラブストーリー、
お読み頂きありがとうございました♪
続いて、また番外編になりそうです。
鋭意作成中、今しばらくお待ち下さいませ✈︎