表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの滑走路の向こう側へ  作者: きさらぎ ねこ
✈︎ ✈︎✈︎✈︎第8章
173/197

第10章 十六、2人で洗車



翌日の日曜日、

朝から2人は洗車場にいた。


水しぶきの中、

車をあわあわにして、流して、拭いて、

ワックスをかけて、

2人ですれば、あっという間に

車はピカピカになった。



それから凛は観光名所を案内し、

遅めのランチに海辺のカフェに向かった。


平日と違って、それなりに客はいたが、

遅めとあって、テラス席に通された。


日陰だと、海風が涼しく、心地よい。



「ホント、癒されますね。

 何時間でもいられる」


「空港の人たちもよく来るんですよ。

 まぁ大抵平日に来るから、

 今日はいないですけどね」


食事をゆっくり済ませると

2人はカフェの前の浜辺に降りてみた。


コンクリート片に凛が腰掛けると、

旺太郎も続いた。


「はー、明後日には空港かー」


「そうですねぇ、

 2ヶ月、お世話になりました、

 社を代表してお礼を言います」


いやいや、そんな大袈裟な、と謙遜して

凛は続けた。


「最初は、ちょっと不安だったんですよねー。

 純礼さんは話した事あったけど、

 津田さんなんて、挨拶ぐらいしかした事ない、

 人間関係躓いたら、毎日気まずい人と

 逃げ場もない、同期はいない、

 運賃体系もハンドリングも違う…


 でも、来て良かったです。


 あっちの空港だと、

 一日中、発券カウンターに座ってたり、

 あれー今日晴れてたんだっけーとか、

 下っ端はゲート周り、上の人たちは発券、

 とか分業されてて、

 大人数の駒の一人に過ぎないけど、


 こっちは、全部するでしょ、

 出発・到着、発券、搭乗手続き、荷物預かり。

 それはそれで楽しいですよ。

 お客さんの一人一人に接客できるって言うか。


 もちろん向こうの空港でも心を込めて

 接客してましたけど、

 こっちは、お客様の全部をケアできるでしょ。


 沢山のお客様のちょっとだけより、

 少ないお客様の全部、旅のお手伝いできるの

 なかなか良いな〜って。


 もちろん、向こうも面白い事もありますよ、

 大きい飛行機のハンドリングとか、

 525人乗り満席のお客様を定時で出した時の

 達成感とかね、みんなで協力して。


 大きな空港だと、私なんで歯車の一歯に

 過ぎない事にも気付けたし、

 歯車の一歯として大きな事をするのも

 それはそれで楽しい。


 でも、小さいなら小さいなりの

 面白さもありますよね。


 搭載のおじさん達なんて、普段

 話す事もないから見分けもつかなかったのに

 昨日も一緒にランチしたし。


 搭載のおじさん達、3人いるじゃないですか、

 マーシャリングの仕方、微妙に違うんですよ。

 大きく振ってたり、ピョコピョコ振ってたり」


凛はおじさん達のマーシャリングの真似を

披露して、2人は笑った。


それに、と少しはにかみながら付け加えた。


「こっちに来なかったら、山中さんとも

 仲良くなれなかったですしね」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ