第10章 十、きっかけ
軽く凹む旺太朗に、凛は提案した。
「じゃ、まず飛行機を好きになる事から
始めましょうよ! んー、岩瀬さん辺りに
飛行機の話聞いてみ…ようと思ったら
酔い潰れてますね…」
「あー、ホッとしたのかなー、
就航に向けて、ずっと突っ走ってたから」
2人は顔を見合わせて笑った。
「じゃあまず、大塚さんの飛行機の話から
聞かせてください」
「え、私ですか? そんな詳しくないですよ?」
「でも、好きでしょー、飛行機?
じゃあ。きっかけから」
「きっかけですか? んー、
うち、実家が結構近いんです、区内で。
で、まだここに空港があった時、
親戚の見送りで、ここに来た事あって。
ホント子どもの頃ですよ。
で、送った後、そこの滑走路脇の土手?
みたいなトコに連れてかれたんです。
小さな空港なので、滑走路が近くて、
今思うと大して大きくないYSとかの
シップなんでしょうけど、すごい迫力で。
そっからしょっちゅう、その土手に
父に連れてってもらってました。
まぁ、その辺がきっかけかな」
「へー、そこの土手、入れるんですね」
「あ、入れますよ、
高校生たちとかランニングしてるし。
子どもが自転車の練習してたり
犬の散歩させてたり」
「へー今度行ってみようかな、
普通に入れるんですか?」
「普通に入れますよ、一緒に行きます?」
「え、いんですか?」
「え、いいですよ、
仕事終わってからでも。
今の時期、暑いかな〜」
「暑いの、僕、大丈夫です!
いつがいいですか?
明日でもいいですか?」
「あ、ハイ」
「じゃあ明日、仕事終わった後、
飛行場に行きます!」
そういうと、2人は連絡先を交換した。