第10章 八、決起大会
決起大会の会場は、
飛行場からもう少し海の方へ行った
マリーナのレストランになった。
1階はヨットやプレジャーボートの
管理施設とカフェ、
2階がレストランとなっていた。
幹事の岩瀬が、
海と反対側の席で予約したら、
店の人は怪訝な様子だったそうだ。
南側に海が見えるのが売りのレストランだが、
北側からは、実は滑走路が臨めるのだ。
一同は、滑走路に向かって、
運航の安全と繁栄を祈って乾杯した。
乾杯した頃はまだ明るさの残っていた滑走路も
宴もたけなわになった頃には
ランウェイの誘導灯が美しかった。
岩瀬はすっかり酔って眠そうで、
純礼に介抱されていた。
運航事業部本部長と搭載の荒井の
おじさん2人は、明日香や三橋と
古い飛行機話に花を咲かせていた。
凛は、何となく取り残されている営業の旺太朗に
話しかけてみた。
「皆さん楽しそうですね、
仲良いですよね。
っていうか純礼さんと岩瀬さんも
なんか仲良いですよね、いい感じというか」
「え、えー?そうなんですか?
言われてみたら、ホントだ…
あのお二人は、そうなんですか?」
「いや、どうなんでしょう、
プライベートは聞いた事ないんですけど…」
驚く旺太郎に、凛は少し慌てて言った。
元の空港にいた頃は、
純礼や津田はかなり上の先輩であり、
業務では話すが、それ以上に話す事もなく、
プライベートな事はあまり知らなかった。
そこで話は途切れてしまい、
凛は、うーん話題話題…と考えた。