第10章 七、初就航
翌日、ついに迎えた初就航の日、
9月の平日とあって、
予約数はまだ多くはなかった。
この日からハンドリングは
旅客が凛と純礼、運航支援の三橋、
搭載の荒木がデフォルトメンバーとなった。
50人乗りの小型ジェットで、
予約数も30人弱、
搭乗待合室で、カウンター前の人を
ざっと数えると、だいたい30人弱。
ビジネス路線の羽田便と違って、
予約した人はだいたい来るんだな、
と凛は少し新鮮に思った。
一般的な空港では、
朝、カウンターがオープンすれば
いつでも搭乗手続きができるが、
この飛行場では、
搭乗手続きの時間は決まっており、
だいたいの保安検査が済んだ頃、
係員の誘導で、乗客はランプを歩いて
飛行機へと向かう。
到着時の荷物も、
小さな飛行場にはベルトコンベアなどなく、
搭載のおじさんが直接台の上に
荷物を運んでくる。
何もかもが凛には新鮮だった。
一番機も、スムーズに出発して行った。
折り返して来た便も
次なる乗客を乗せると、
元来た目的地へと帰って行った。
トラブルなく初日を終え、
皆の顔には安堵の表情が浮かんでいた。
カウンターを閉め、オフィスに戻ると、
エアラインの運航事業部本部長の渡辺が
決起大会を行うと、ハンドリングスタッフの
3人を誘った。