第10章 六、到着
乗客の誘導の為、
凛はスポット近くにスタンバイしていた。
小型機のドアが開くと、
そのドアがそのままステップとなっており、
CAが降りて来た。
そして、慣熟飛行の乗客も降りて来て、
凛は到着ロビーへと誘導した。
到着ロビーでは
エアライン側のスタッフたちが
降りて来た乗客たちと話していた。
40分間のステイ時間を経て
飛行機は次の目的地へ飛ぶ。
この慣熟飛行では、
エアラインが用意した
厚紙のような搭乗券が使われていた。
QRコードを読み込むような改札しか
使った事のない凛は、
こんな子ども銀行のお金みたいなので
飛行機に乗るなんて…と驚いていた。
それを見た津田は、
「昔はこんなのだったのよ、
もぎり、するのよ。
それに、イレギュラーの時は
今でも使うわよ、勉強不足ね」
と呆れていた。
「あー、イレギュラーの手書き航空券って
これですかー。
津田さんは、やった事あるんですか?」
「あるわよ、空港に落雷があってね、
停電して、サーバーも落ちて。
電気は復旧したけど、サーバーが
復旧しなくて、マニュアルチェックイン。
欠航もしたから、実際したのは
2便ぐらいだったけど」
その子ども銀行のお金の様な
もぎりの搭乗券を持った乗客たちは
次の目的地へと発って行った。
飛行機は、その目的地から戻ると、
また朝来た出発地へと帰って行った。
凛の働く南飛行機は、
ちょうど中間地点であった。
折り返しの出発便が出ると
凛たちスタッフとエアライン側スタッフは
また翌日の初就航に向けて
最終のミーティングをした。