第10章 四、就航を控えて
8月30日、就航を2日後に控え、
ついに南飛行場への勤務が始まった。
前の空港だっただけに建物は古く
学校の校舎の教室のような事務所だったが、
窓からは滑走路は見え、眺めが良かった。
他社の小型プロペラ機や小型ジェット機
あとは個人所有の小型機などが
往来していた。
エアライン側からは、
運航事業部本部長の渡辺と、岩瀬、
それから営業の山中旺太朗が来ていた。
前の空港の頃から働いている
搭載の荒井、旅客の津田、
エアラインの岩瀬はあれこれ
昔話に花が咲いていた。
「懐かしいわね〜、
バックオフィスの場所が違うけど、
何か、こんな感じだったわ」
「今の空港より小さいなりに
結構せわしいイメージだったけど
小型機ばかりで、のどかですね」
「滑走路の向こう側の、
ほらあの『花』の看板!
霧であの看板が見えなくなってくると、
ダイバートなんだよな」
「へー、それは分かりやすいですね、
僕、ここにいた頃は貨物だったので、
運航の今の身からすると、
貴重な目安になります〜」
合同でミーティングをしたり、
事務所に足りない物を買い出しに行ったり、
カウンターやエプロン(*1)、その他の確認など、
1日はあっという間に過ぎた。
(*1)エプロン…飛行機が駐機しているエリア