第10章 一、プロローグ
7月中旬の空港は、
夏休みに向けてぼちぼち忙しい雰囲気に
包まれていた。
早番終わりのミーティングも終わり、
大塚凛は、所長の白石に呼ばれ応接室に入った。
「大塚さんは2年目だよね、
発券教育はどう、進んでる?」
「はい、こないだOJTも終えて、
なんとか独り立ちしました」
「ウンウン、なるほど、頑張ってね。
して、今日来てもらったのはね、
南飛行場、知ってるかね?」
「あー、昔の空港ですよね、
市内にある…」
「昔…!そうね〜、昔の空港ね〜。
その昔の空港に、今度、新しくできる
エアラインが9月から就航する事になってね。
そこのハンドリングをうちがする事に
なってね。
で、9月入社の新入社員の1人は、
そちらに配属になるんだけど、
こっちでの教育期間の数ヶ月ほど、
大塚さんに行ってもらおうと思ってます」
「あぁ、そうなんですか」
「あとは、新人さんの独り立ち後も
新人さんの休みの日とか、
月に数日入ってもらう予定です」
「はい」
「で、南飛行場には、
小松さんがメインで固定で、
あとは小松さんの休みの日に
津田さんが入ります」
と言うと、白石は小松純礼と津田明日香を
応接室に呼んだ。
「基本、この3人と新人くんで南飛行場は
まわしていく事になります。じゃ、ヨロシク〜」
3人を残して、
白石所長は応接室から出て行った。