番外編 九、ボーディングブリッジへ続く滑走路
知り合ったばかりの2人の話は尽きず、
結局、翌日の夜も長電話をした。
そして、またその翌日、
午後のセミナーを終えると
飛行機で帰る事になっていた。
余裕を持って帰りの飛行機を予約していたので
空港に着くと、前の便にも乗れそうだった。
カウンターで係員に尋ねると、
予約変更可能な運賃だったので
前便に変更してくれた。
搭乗予定の飛行機は
オープンスポットに駐機しており、
絢華はバスラウンジへ向かった。
エスカレーターを降りた絢華は
松本の言っていた事を思い出し
笑みが溢れた。
「飛び立つ前の、バスラウンジから
すでに地元に帰った気分になれるよ」
出発を待つ年配の観光客たちは、
絢華の地元の言葉で賑やかに
旅を締め括ろうとしていた。
たった数日、地元を離れていただけなのに、
絢華は懐かしい気持ちになっていた。
バスは地元の言葉満載でスポットに向かった。
そして、そのまま地元言葉満載の飛行機は
松本が今もせわしく働いているであろう空港へ
飛び立った。
予定にしていた最終便の到着する時間には
松本はもう勤務を終えてしまっていると
言っていた。
1時間余りのフライトを終え、
飛行機は滑走路へと滑り降りた。
青や緑のライトに縁取られた誘導路を
飛行機はのろのろと進んで行く。
やがて飛行機は止まり、
気の早い乗客たちが通路に並び始めるのを横目に
後方座席の絢華は窓から働く人たちを眺めていた。
あの中に松本もいるのだろうか。
通路の乗客たちも流れ始め、
絢華も身支度を整えると、席を立った。
ドアの横で客室乗務員がにこやかに
挨拶をしていた。
機内から一歩足を踏み出すと、
そこには、さっき窓から探していた顔が
満面の笑みで待っていた。
「ご搭乗ありがとうございました」
おかえりなさい」
トーイングトラクターに押されて
向かった滑走路は、
ボーディングブリッジの笑顔へ繋がっていた。
✈︎✈︎番外編 完✈︎✈︎
❥ ❥筆者より❥ ❥
松本と絢華のラブストーリー、
お読み頂きありがとうございました♪
続いては第10章、
話は空港に戻るのですが、鋭意作成中です。
今しばらくお待ち下さいませ✈︎