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あの滑走路の向こう側へ  作者: きさらぎ ねこ
✈︎ ✈︎✈︎✈︎第8章
154/197

番外編 六、傘を返しに




それから1ヶ月ほど経った頃、

松本は空港のレストランで絢華と会っていた。


「休憩中にすみません、

 これ、借りてた傘です」


「わざわざすみません」


レストランの窓からは滑走路が見渡せた。

出発を控えた他社の飛行機の周りは

忙しそうに働く車が行き交っていた。


それを見ながら、絢華が言った。


「空港って、何だかワクワクしますよね。

 そういえば、航空関係の仕事も憧れたなぁ」


「そういえば恵比寿さん、

 名刺に取締役って書いてあったけど、

 社長さんなんですか?」


「いえいえ、社長じゃないです。

 先輩と、小さなブライダル会社を

 立ち上げたんです。

 私と先輩入れても10人の小さな会社です」


「へー、スゴイっすね!

 取締役って何ですか?

 CEOってヤツですか?」


「いえいえ、そんなスゴイのじゃないです」


へー、そいえばCEOって何だろ、と

松本が独りごちてると、同期の三沢夏帆が

休憩だったようで同僚と通りがかった。


「あれ、松本?」


「おぅ三沢、CEOって何だ?」


「え?は?急に何?CEO?

 あれ、こちらは、こないだの…」


突然の松本の質問に戸惑ったが、

松本の対面に座る女性が、

以前、カウンターに松本を訪ねてきた人物だと

夏帆も気付いたようだった。


絢華も夏帆に気付いたようで、言った。


「先日はありがとうございました。

 今日はこれから東京に行くので、

 持ってくるのを忘れてた傘を持ってきました」


「あ、そうなんですね、

 あー、何か、無事取り持てて良かったです」


二言三言話を交わすと、

そろそろ行かないと、と夏帆は言った。


そして松本には、

んー、チョットのC、偉いのE、オッチャンO、

でCEOなんじゃない?と言うと、

夏帆と同僚たちは笑顔で挨拶し、

職場へと戻って行った。


少しポカーンとしていた絢華だが、

夏帆の言い残した事を理解すると爆笑した。


「チョット偉いオッチャンの略かー、

 じゃあ私、チョット偉いオバチャン

 名乗ろうかな」


「え、恵比寿さんはお姉さんでしょ」


「いやー、実は結構歳いってるんで。

 32ですよ〜」


「え?マジすか? 9コ上?」


「え? 9コ下? 23?!」


松本の言葉に、絢華も言葉を失った。


沈黙を破って、松本が笑って言った。


「32でチョット偉いお姉さん、

 スゴイっすね」


その言葉に、絢華も思わず笑った。






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