番外編 四、預かり物
翌日、松本が早番の勤務が終わった頃、
旅客課の同期、三沢夏帆がやってきた。
「お疲れ様でーす、松本いますー?」
「お、三沢ちゃん、松本なら
ロッカー覗いてみて」
「覗きませんけど、ありがとうございまーす」
夏帆がロッカーのドアを叩きながら
外から松本ーと呼んだ。
ほーい、と言いながら出てきた松本に
はいよ、と夏帆が紙袋を差し出した。
何?と松本が聞くと、夏帆が言った。
「こないだ、遅番帰りに
年上美女が事故ってるの助けたって
言ってたじゃん、
連絡先聞きたかったけど聞けなかったって。
多分、カ、ノ、ジョ!」
事態が飲み込めない松本に夏帆は説明した。
「昨日の遅番で、カウンターに来られたのよ。
松本って人いますかって言われても、
最初分かんなかったわよ?
で話聞いたら、事故って助けてもらった
って言うから、あーってなって。
アンタ、ラッキーだよ、たまたま
カウンターにいたのが私で!
事情知ってたからさ、裏に回ってもらって
預かったのよ!」
感謝しなさいよね、と夏帆は紙袋を差し出した。
そして
「中に、お名刺入ってるから、
必ず連絡しなさいよ!
私の面目が関わってるんだから」
と言うと、夏帆は去って行った。