第9章 十七、雪道からつながる滑走路
淋しくなります、という純礼に
岩瀬は静かに言った。
「そうなんだ…
淋しくて…
せっかく仲良くなれたのに、
九州行って、離れてしまったら…
きっと、僕なんておじさん、
忘れられてしまう。
小松さんは、若くて可愛らしくて…
きっと、素敵な男性とすぐ仲良く…」
独りごちるように言っていた岩瀬だが
純礼の目を見ると、強く言った。
「でも、小牧君の話聞いて、
次のステージを目指すと言う事は
たとえ距離が離れても
心まで離れる訳じゃない。
次のステージに立てた時、
また自信を持って
彼女を迎えに行けば良いって事」
なんだよね〜、と岩瀬は穏やかに
付け加えた。
「だから、ちょっと待たせるけど、
小松さんの事、迎えに行ってもいいかなぁ」
しばし、固まっている純礼に
岩瀬は言った。
「いや〜、小牧君みたいな若い子に
教えられちゃうなんてねぇ〜
やっぱ本社の子は、色々偏差値高いね、
恋愛偏差値とかもね〜」
やっとの事で、純礼は言った。
「おじさんなんて思ってないです、
岩瀬さんの事」
「そう? 10コぐらい上だけど」
「待ってます、
岩瀬さんが迎えに来てくれるの、
待ってます」
「え、いいの? そっか、良かった〜」
岩瀬はホッとした様子だった。
「私も、その新しいエアラインで
働く事ってできないんですか?」
「え、あー、小さい会社だからね〜、
ハンドリングは外注だと思うんだよね、
こっちに就航したら、うちの会社から
出向とかなるかもしれないから、
手を挙げておいたら?」
どんな会社なんですか?
どんなトコなんですか?
次のステージに向けて、
2人の話はまた尽きない。
10コも上の先輩へのOJTは、
次なる空港の滑走路へ続いていた。
✈︎✈︎第9章 完✈︎✈︎
❥ ❥筆者より❥ ❥
純礼と岩瀬のラブストーリー、
お読み頂きありがとうございました♪
続いては番外編、
同期の搭載男子、松本の恋をお届けします✈︎