第9章 十五、レストランでの決心
数ヶ月たったある日、
2人は珍しく洒落たレストランで
グラスを傾けていた。
「じゃあ、小松さんの表彰にかんぱ〜い!」
「ありがとうございます」
純礼は、毎月行われるミーティング月並で
障がい者のハンドリングについて話し合い、
まとめた体験や改善策などが
本社で表彰されたのだ。
「本社に表彰されるなんて、スゴイね〜」
「いえいえ、私はテーマを提案して、
みんなの意見をまとめただけですから」
「でも、僕はとても触発されたよ、
うちの空港が表彰されたの、初めてだし、
影響された人、他にもいるんじゃないかな」
「いや、でも、岩瀬さんも影響与えてますよ、
本社から研修に来てた新入社員の小牧さん、
覚えてますか?」
「あー、いたねー、爽やかな青年」
「彼、岩瀬さんにガッツリ影響受けてますよ。
霧でイレギュった時、岩瀬さんが
スゴく的確に予報を出してて、
でも、それが係員全員に周知されてなくて。
クレーム受けた係員も謝るしか出来なくて。
で、予報が当たって、雲が抜けてからの
オールステーション、一方送信
X X X便、まもなくランディング、でしょ。
カッコイーってなって、
気象予報士の資格取って、
OCCに異動したそうですよ」
「え、そうなの?
スゴイね〜、気象予報士とか、
なかなか合格しないでしょ〜!」
へーとか、ふーんとか、感心しきりの岩瀬に
純礼は続けて言った。
「まだ続きがあるんです!
そしてその実現させた夢を携えて
ここでOJTした三沢に告白しに来たんです!」
「えー!そうだったの!」
ますます感心していた岩瀬だったが、
決意を決めたように言った。
「よし、決めた!
迷ってたんだけど、
小牧君の根性を及ばずながら見習って!
僕、九州に行くよ!」