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第9章 十三、思いがけない外泊
岩瀬のマンションは
整備された道路沿いで、
1階が駐車場になっており雪も積もらない。
部屋はシンプルで片付いていた。
やー寒かったねーと
岩瀬は暖かいココアを入れてくれた。
「明日は何番?」
「あ、早です」
「えー、じゃお風呂入って!」
岩瀬はフリースの上下とバスタオルを
恐縮する純礼に渡した。
純礼が風呂から上がると、
岩瀬はパソコンに向かっていた。
「お風呂頂きました」
「ハーイ、雪、今晩は止まないみたいだね。
明日の朝、少し弱まるけど、
まあ使用機がダイバートしたから、
初便は欠航だね。
次便は…フェリーフライトで持ってきて、
ちょっと遅れて出れるかなぁ」
「そうですかー、
朝はどれぐらい雪が残ってますかね」
「早番の出社時はまだ全然残ってるよ、
朝日が出て日向が溶け始める感じかな。
僕も早番だから、一緒に行こう」
「何から何まで、スミマセン」
「ベッド使っていいよ」
「ソファーでいいです」
「使って使ってー、
おじさん臭かったらごめんけど」
岩瀬は笑いながら、風呂に向かった。
じゃあちょっとだけ、とベッドに横になった
純礼は、あっという間に眠りに落ちた。