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第9章 八、独り立ちして
9月から始まった岩瀬の旅客課の研修は
座学、OJTをこなし、独り立ちし、
3ヶ月で、ひとまず終了となり、
12月以降は、ローテーションで月に数日
旅客課の勤務に入る事になっていた。
まだ12月だというのに
大雪の予報が出たその日、
純礼は遅番で出勤していた。
岩瀬も出勤しているようだったが、
ディスパッチのようだった。
出社時、チラついていた雪は、
夕方が近づくと薄ら積もり始め、
夜には大粒の雪が降り積もるようになった。
滑走路では、
凍結防止剤を散布する車が
せわしく行き来していた。
19時半を過ぎると、
空港までの主なアクセスである高速道路が
積雪の為、通行止めになった。
19:20着の到着便は珍しい事に
10分早く着陸し、乗客たちは
ギリギリ空港から家路に着く事ができた。
折り返しの20:00発の羽田行きは
なんとか出発できたが、
ここから先は、かなり厳しい状況だった。
高速道路が通行止めになると、
リムジンバスも運休となり、
自家用車も山道の下道で来るとなると、
かなり雪道の運転に自信がないと難しく、
出発の客はパタリと途絶えた。