第8章 四、短い休憩中
その日、
ちとせは朝の8時から夜の8時までの勤務で、
夕方、二回目の短い休憩に入った。
短いし、簡単に軽食でもと思い
フードコートに向かった
夕方だというのに、混み合っていた。
隅の方に席を見つけ、ちとせは座った。
すると隣に居たのは、悠馬だった。
ラーメンをすすりながら、
パソコン相手に仕事をしているようだった。
「あ、梶様」
「あれ、松下さん、休憩?」
「はい、梶様はお仕事ですか?」
「そうなんだよ〜、
今日は朝、会議があったから
直行便に乗れなくてさ、
今から羽田経由で札幌なんだけど、
フライト時間、長いでしょー、
今のうちに飯も食わなきゃ、
仕事もしとかなきゃだよ」
ハハっと悠馬は笑った。
「お忙しいんですね、
お邪魔してスミマセンでした、
お仕事、続けて下さい」
ちとせはそう言ったが、
逆に悠馬はパソコンを閉じた。
「まぁでも、仕事はいつでもできる。
どうせ機内でもしてるしな」
そう言って、パソコンを鞄に仕舞った。
そして、ちとせのテーブルとくっ付けた。
「松下さんは、あまりラウンジで
見かけないね。
飛行機乗る時とか、到着ロビーでも
あまり見ないね」
「そうですね、
私は航空券発売カウンターなどに
いる事が多いですね。
外回りやラウンジは、年次が浅い者が
行く事が多いですね。
あの日、私は長時間勤務の日だったので、
ラウンジも入ってたんですが」
「へー、そういうの、あるんだ。
知り合いが出来ると、空港に来るのが
楽しみになっちゃって、
また会えるのも楽しみにしてたのに、
松下さん、全然居ないんだもんな」
「申し訳ございません」
「いや、謝る事ないんだけどね」