第7章 二十三、目指した理由
何も言えない夏帆に、海は続けた。
「俺がいた間に、霧でイレギュった日
あったじゃないですか、
あれ、俺にとって、人生を変える程の
経験だったんです。
ディスパッチの人、すごく的確に予報
出してたじゃないですか、
あれ、もっとみんなに周知してたら、
みんなも俺も、おっちゃん達に文句
言われても、もっと正しい応対ができてた
と思ったんですよね。
そこからの、あの一方送信でしょ、
もう、カッコイイーってね。
天気を操作する事はできないけど、
正確な予報を的確に周知する事で、
お客様を安心させて、仲間も守る事が
できる、そんな仕事、してみたいと思って。
で、1年必死で勉強した。
俺、本当は法学部だったから、
法務系の仕事に就く予定だったんだよ、
でも予定変更!
異動の希望もずっと出してて、
やっと4月からOCCに行ける事になって。
それを三沢さんには、
直接報告に行きたかったんです」
「そ、そっか、頑張ったんだね…」
海の圧に押され、夏帆は何とか言った。
「もう一つ、三沢さんに言いたい事があって。
気象予報士取ってOCC行けたら
言おうと思ってた事があって…」