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第7章 二十一、月日は流れ
季節は流れ、海が本社に戻り
もう1年半以上が経っていた。
3月の下旬には、新卒の新入社員の
研修が始まっていた。
教育担当リーダーの新山が
上司の大西と立ち話をしているところに
夏帆が通り掛かった。
「あぁ、そういえば三沢さんがOJT
だったよね、小牧君の」
久々に聞いたその名前に、
夏帆の鼓動は早くなった。
「あ、ハイ」
「小牧君さぁ、一発で気象予報士の試験
合格したんだってよ、で、4月から
オペレーターコントロールセンター(OCC)に
異動だってよ。なんか嬉しいねぇ、
ここで武者修行した新人君が成長して
活躍するのを見るのは」
「やっぱ本社のエリートは賢いのねぇ、
気象予報士って、結構何年もかかったり
するんでしょ?」
大西はしたり顔で言った。
「OCCに知り合いがいたら、
何か融通してくれそうだよな」
「え、でも、天気じゃ、融通も何も」
「まぁ、そうだな」
いたたまれなくなった夏帆は、
喋っている2人からそっと離れた。