第7章 十五、海辺のカフェで
2人は、夏帆の同僚たち御用達の
海辺のカフェに来ていた。
ちょうど梅雨の一休みの夕日が沈む頃だった。
「昨日の雨が信じられないような夕日ですね」
「今日の夕日ぐらいから天気が回復して
明日は梅雨の晴れ間らしいですね」
「こんな素敵な海辺のカフェなのに、
すいてるし、とても落ち着きますね」
「東京とか大都会は混んでるんでしょうけど、
平日の田舎のカフェなんて、こんなもんですよ」
夏帆は笑って言った。
そこは市内からも離れており、
週末こそドライブがてら賑わうものの、
平日は近所の農家のおばちゃんたちが
お茶しにくる程度だ。
「この辺りの海は、穏やかでいいですね。
太陽が反射してキラキラしている」
「そうですね、とても癒されるので
よく同期たちと、海辺ドライブしますよ」
「へー、同期だけですか?」
「そうですねー、この仕事してると
地元の友達とは休みが合わないし、
早番終わって、そのままドライブとか、
夜、機内持込制限品の放棄品の花火したり」
「楽しそうですね、同期、仲良いんですね」
「きっつい仕事乗り越えた仲間ですから、
同期は特別ですね。
小牧さんは…まだ入社して間もないけど、
きっと何年かしたら、同期の絆、
実感すると思いますよ〜」
そうですね、と言った海は
少し淋しそうに見えたような気がした。
夏帆は元気な声で言った。
「他にもよく行く海、あるんですよ!
明日、小牧さんもお休みですよね、
もし予定なかったら、ご一緒しますよ?
あ、それとも松本とウィンドですか?」
「いえ、松本は明日長勤らしくて、
三沢さんがお疲れじゃなければ
いいですか?」
「さっき爆睡したから、
もうお疲れじゃないですよ」
2人は笑った。
翌日の約束をして、夏帆は海を送って行った。