第7章 九、雲の隙間をぬって
海が到着の誘導にボーディングブリッジに
向かうと、
ボーディングブリッジのオペレーターは
ウィンド仲間の松本だった。
「小牧が到着か。ついにランディングだな!」
「もー、そこで怖いおっちゃん達に絡まれてー。
そりゃ他社便がランディングしたら、
うちはなんで降りないんだって、なるよねぇ」
「まぁな、あの国のエアライン、
乗員は基本、軍隊上がりだからな。
隙を狙って突っ込んでくるんだからなー。
日本のエアラインと一緒にされてもな」
松本は憐憫の情を浮かべていた。
まもなく、薄く残った霧の中、
ぼんやり灯りが近付いてきた。
ゴォーっと逆噴射のエンジン音を轟かせ、
飛行機は着陸した。
雨に濡れた飛行機はゆったりと
スポットに入ってきた。
松本がボーディングブリッジを操作し、
機体につけた。
小窓からCAのサムズアップが覗き、
ドアオープンされた。
安堵の顔のCAから
機内特に大きなトラブル無しですが、
到着後のアクセスを気にされてるお客様がいます、
など、海は引き継ぎを受けた。
降りてこない飛行機を待つ客たちは
苛立ちをぶつけてくる者もいたが、
上空で待たされていた乗客たちは
なぜか苛立ちよりも、感謝の表情で、
謝辞を述べてくる者もいた。