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あの滑走路の向こう側へ  作者: きさらぎ ねこ
✈︎ ✈︎✈︎第7章
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第7章 八、独り立ち




1ヶ月のOJTを経て、海は一人立ちした。


いつも同じ勤務時間だった2人だが、

それ以降は、勤務時間が同じでも

中堅の夏帆と新人の海では、

一緒に仕事をする事はなくなった。


季節も梅雨に入り、

ウィンドサーフィンからも遠ざかっていた。


海は、同じく新入社員の同僚と、

知識や情報を共有しべく

親しくしているようだった。


人懐こい笑顔の海は、

新入社員たちだけでなく、

勤務が一緒になった先輩たちにも溶け込んでいた。



その日も、しとしと雨が降り続いていた。


夜になり、雨が止み、

具合の悪い事に雲が降りてきた。


辺りは霧で真っ白になり、

搭乗待合室から、駐機している飛行機が

見えない程の視界の悪さだった。


最終便の使用機は

空港上空で着陸のチャンスを窺っていた。


一瞬の雲の隙間を縫って、

外資のエアラインが着陸した。


搭乗待合室内で拍手が起こった。


ゲートにスタンバイしていた係員に

乗客が詰め寄った。

「おまえんとこの飛行機はどうなってんだよ!

 よその飛行機、降りてんじゃねぇかよ!」

「散々待たせた挙句こんな時間に放り出されても

 こっちは迷惑なんだよ!」


「申し訳ございません」

詰め寄られた係員は力なく謝罪した。


少し離れた所で、到着のスタンバイをしていた

海は駆け寄ると言った。

「お客様! ただいま上空の乗員は、

 安全第一でベストを尽くしておりますので!」


その時、無線が告げた。

〈オールステーション、一方送信

 X X X便、『5分前』!!

 まもなくランディングです!

 ETA21:15、折返し最終便ETD21:50、

 どうぞ!〉(※1)


無線のイヤホンをしていた者は皆、

心の中でガッツポーズしたはずだ。


海は、ボーディングブリッジに急いだ。



(※1)5分前: ランディングの5分になると

モニターの到着時刻が点滅し、到着の担当者は

スタンバイする。

ETA:到着予定時刻、ETD: 出発予定時刻




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