第7章 六、ショッピングモールに
社員通用口で待ち合わせると、
夏帆は海を車に案内した。
「狭いですけども」
恐縮する夏帆に海は言った。
「小さいけど四駆なんですね!」
「この辺、雨の時期とか霧が出るから、
フォグランプあると違うんですよ」
そんな事を話しながら車を走らせ、
ショッピングセンターに着いた。
スポーツ用品店に案内しながら、
なんとなく夏帆も海の買物に付き合う事になった。
男性とこうやってショッピングするの、
そういえば久しぶりかも、
横にいるのは、ただの同僚であったが、
夏帆は何となくウキウキした。
海の買物は済んだが、
自分もスーパーも寄ると言うので、
2人はスーパーに向かった。
2人で食品コーナーを巡るのも楽しかった。
時刻はもう夕暮れとなっていた。
「もうこんな時間ですね。
もし良かった、このまま飯、どうですか?」
腕時計を確認した海が言った。
突然の誘いに、夏帆は一瞬ドキッとしたが、
顔には出さずに言った。
「そうですね、そうしましょうか」
食事をしながら、2人は色々話をした。
「なんだ、三沢さん、年下ですか」
「でも、社歴は私の方が上ですから」
「三沢さんがこの業界に入ったきっかけは?」
「私は普通に、憧れてというか…
小牧さんは?」
「僕はね、実家が伊丹空港の近くでね。
小さい頃から自転車でよく行っててね」
「え、伊丹空港って大阪じゃないんですか?」
「伊丹空港は兵庫県と大阪府にまたがってるんだ。
ちなみに伊丹市は兵庫県ね」
「そうなんですか、ややこしいですね」
すっかり2人は打ち解けていた。