時代が来たとか追いついたかもしれないという話
久々に投稿しました。
書くのって難しいなと改めて思いました。
下手で遅くて申し訳ないです。
毎日投稿されている先生方は凄いです。
そっちの方面と思われる男に町外れの河原に連れてこられた。
琴音ちゃんとお昼ご飯を食べ終わったあとに、五人くらいのガラが悪い奴らに絡まれた。
昨日の奴もいて、お礼参りとのことだ。
一〇、二〇、三〇……
三〇人くらいか。
刃物は持っていないものの、全員、木刀なり棍棒なりを持って待ち構えていた。
こうなったのは朝に遡る。
今日は一大行事だ。
人生で三回あるとかいう大チャンスのうちの一回かもしれない。
そう、生まれて初めて母以外の異性と買い物に行くのだ!
もはや逢引きと言っても過言ではない。
ついに自分の時代が到来した!
否、時代が自分に追いついた。
実は昨日の夜からわくわくして仕方なかった。
自分の部屋で女性と二人きりということに、ドキドキわくわくし過ぎて、
お風呂に入るのを忘れてしまったくらいだ。
琴音ちゃんにも悪いことをした……
仕方ないから朝入いるしかないかな。
琴音ちゃんはまだ寝ているから、風呂を沸かして先に入ろう。
臭いと思われたら嫌だし。
お湯を張るのに時間掛かるけど、
朝ごはんを一人で食べる訳にもいかないので、お湯が張り終わるまで軽く自主鍛錬を行った。
戦で使い果たした気はそれなりに回復したけど、もっと最大容量を増やさないとこの先通用しない。
鍛錬と言っても、気を錬成と軽い筋力向上の日課だ。
お風呂が溢れたら困るからね。
そして朝飯の米を炊く。
鍛錬中も入浴中も今日、何をするか考えていた
町を案内しつつ、買い物をして、ご飯を食べて、買い物をして、お茶をして……
正直、どこに行けばいいかわからん。
細かいところは相談して決めるしかないな。
風呂から上がると、琴音ちゃんは既に起きており、
自分を待ってくれていた。
「お、おはよう。昨日入ってなかったからお風呂頂いたよ」
「おはよ。私も疲れちゃって忘れてた。入っていい?」
「う、うん。ご飯の準備しているね」
「はーい。また後でね」
やっぱり可愛いな。
緊張しちゃうよ。
ご飯と言っても大したものは作れない。
材料的にも、技術的にも。
魚の干物を焼いて、味噌汁くらいか。
あと、豆腐もあるな。
魚は琴音ちゃんが上がってから焼こう。
普段は自炊しないから絶対に買わないけど、
昨日の帰りに弥生さんから色々貰ったんだよね。
琴音ちゃんが上がる前に布団を片付けたりしよう。
と、思ったら畳んでくれていた。
しかも座卓まで出してくれているよ。
はぁ、嫁にしたい……。
味噌汁出来た。
冷奴出来た。
米も炊けた。
あ、上がったっぽいな。
魚焼こう。
「上がったよー」
「ちょうど良かった。ご飯作ったよ。食べよう」
「すごーい!何も出来ないような話してたのに、ちゃんと作れるだね!」
「あはは。次は数年後かもしれない。大したものじゃなくてごめんね」
「ううん。嬉しいよ。食べよっか」
「「いただきます!」」
貰った米も魚も豆腐も良いものらしく、普通に美味しかった。
味噌汁は人生で初めて作った。
母が出汁とってから、味噌を入れていた気がして
何となくやってみたけど、何とか大丈夫だ。
琴音ちゃんも美味しいと言ってくれた。
ご飯を食べながら、どこに行くか話をした。
まず着るものを買う。
その次に日用品。
それで荷物を置いて、どこかでご飯を食べる。
また買い物を再開して、お茶をして、帰りに夕飯の食材を買って帰る。
ということになった。
朝飯を買ってから、昼食までは記憶があまりない。
嬉しいのと楽しいのと緊張で時間が経つのがあっという間だった。
この着物似合うかとか聞かれても、何を着ても可愛いから困る。
高い物を選ばないで、それなりの値段のを選ぶから嫁にしたい度がますます上がるというね。
荷物を置いて、人気があるらしい蕎麦屋で昼食を食べることにした。
大衆向けというより、高級感が溢れていて畏まった感じだ。
「蕎麦も天ぷらも美味しいね。俺、こんな美味い蕎麦初めて食べたよ!」
「何それ?面白いよ、天貴君。確かに美味しい。思わずにやけちゃう」
一人だったら行かないし、可愛い子と食べるご飯ってこんなに美味しく感じるんだね。
店を出たら、昨日の奴とガラの悪い奴らに声を掛けられた。
「よう、兄ちゃん。昨日は世話になったな、待ってたぜ」
「俺からは何もしていないんだが。そっちが一方的に襲ってきたんじゃないか」
「そうなんだがな、こっちにも面子がある。ちょっと来てくれよ。そいつも一緒だ。安心しろ。女に手は出さない」
「わかった」
と、河原に連れて来られたというわけだ。
「悪いな、兄ちゃん。こっちの都合で悪いんだが、ちょっと痛めつけられてくれよ。殺しはしねえ」
「……」
「何だ。だんまりか。お前ら、やれ」
男たちが一斉に襲ってきた。
とりあえず、近くの奴を跳び蹴りで倒す。
素手で数人倒した後に木刀を二本奪う。
あとはひたすら二本の木刀を振り回す。
敵は武器を持ったことの無い素人ではなかったが、ただ相手が悪かった。
奴らの誰もが、俺の剣載にはついてこれず、また一人と倒れて行く。
武器を投げる者もいたが、矢除けの加護のお蔭で避けなくても当たらない。
石を投げてくる奴もいたが、同じく当たらず、仲間に当たって勝手に流血沙汰となっていく。
残りが数人になって逃げようとするが、逃がさない。
というより、生まれて初めての逢引を邪魔されたので許さない。
襲ってきた奴らを全員気絶させて、一安心したところで次の事件が起こる。
誰が通報したのか知らないが、憲兵がやってくるのがわかった。
俺は悪くないと思うが、面倒なので逃げることにした。
琴音ちゃんと一緒に走ろうと思ったが、おろおろしていた。
仕方ないので、御姫様抱っこして気を解放して全速力で走った。
「人攫いだ!待て!」
「投降しろ!今ならまだ間に合う!悪いようにはしない!」
憲兵が叫んでいるが、もちろん無視して逃げる。
彼らも鍛えているのだろうが、追いつかれるどころか、差は広がっていく一方だ。
巻いてひと段落ついたところで、琴音ちゃんを降ろす。
「やぁ、大変な一日だったね」
まだ一日終わってないが、そんなことを口走った。