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密度の濃い午前中の話

更新が遅れてすみません。

頻繁ではないかもしれませんが、頑張りますので応援宜しくお願いします。

「おはようございます」


朝起きて居間に行くと知らない人が二人いた。


「・・・!?え、と、ど、どなたでしょうか?それとも僕が間違ってお邪魔してしまったのでしょうか?」


凛々しい美人が答える。


「貴方は間違っていないわ。少なくとも私達は貴方が知らない人間ではあるわね」


精悍な顔つきをした体格のいい美青年が答える。


「ふん。なかなか楽しませてくれるな。家主を探しているのか?」


「ええ、そうなんです。昨日泊めてもらいまして、朝の挨拶をしたいのですが…見当たらなくて…」


「それともまさか…貴方達がやったのですか?」


殺気を込めて、返答次第では容赦しないという態度を示す。


「待て待て待て!わしだ!弥栄だ!不老樹の神木で若返ったのだ!」


「からかってごめんなさいね、天貴君。思っていた以上に若返って舞い上がってしまったの」


そう言われて見れば面影があるな。

というか、二人ともこんなに美男美女だったのか…

何かイチャイチャしてるし…

若返ってお互いに惚れ直したのか?

ジト目で二人を見る。


「ゴホン!まぁ、何だ。朝飯でも食うか?」


「そうですね、頂きます」


それにしても気まずいな…

二人は目が合うと照れ合ってるし…

会話がないのが辛い。

というか、早く帰りたい。


とりあえず飯を黙々と腹にかきこむ。


そこではっと気付いた師範が口を開いた。


「今後の稽古だが、本来の順序で教えるはずだったことをやっていく。今までは時間の関係で徹底的に地力を上げるようにしてきたがな。」


「はぁ、と言いますと?」


「馬の乗り方、短剣投げ、傭兵術、各種武器の扱い等等だな。まぁ、ぬしも疲れているだろうから今日は軽く組み手をやって、後は休むが良い。」


若返りの話題も出てきた。

不老長寿の枝は不老長寿の神木というのがあって、その枝らしい。

生えてるのわかるなら折ればいいじゃんという発想が当然ながら出てくるが、折ると神罰が下るとか若返りの効果がなくなるとかで、自然に折れた枝葉しか流通させられないらしい。

ただ一般に若返りは眉唾物の都市伝説と思われており、枝葉を手にしても使い方は知れ渡っていない。

ただ師範達は知っているらしく、最も効果的な方法で若返ったということだ。



食事が終わって、小休止した後に道場に向かう。

いつもは弥生さんは来ないんだけど、今日は久しぶりに来たいということであった。


内容は素手での組手。実力を測りたいから本気で来いとのこと。


組手のはずなのに、弥生さんが審判をやるとか、嫌な予感しかしなかった。


「では、始め!」


こないだの戦で強くなったのか、師範が若返ったからなのかわからないが、前以上に実力差がわかる気がする。

向き合うだけで、覇気というか、威圧が押し寄せてくる。


ジリ貧になったらダメだ…

英里紗さんの時も、あの何とかという奴の時のようになったら…


よし!全力で行こう!!


徹底的に攻撃をするため陽の型をとる。

戦が終わってから、頑張ってそれなりに回復させた気を身体全体に巡らせる。

全身のバネを使って、間合いを詰め、打撃を展開する。


右拳での突き、左脚での回し蹴り、左拳での裏拳、右脚での跳び後ろ回し蹴り(ソバット)、防がれてからの空中でのかかと落とし。


相手は師範なので、当然そのまま当たることはなく、防がれるのは勿論のこと、逆に反撃が来たりする。


最初は様子を実力を見る程度の反撃だったが、徐々に力も速さを上がって、段々と積極的に攻撃を仕掛けるようになってきた。


「思ったよりやるではないか!」

弟子の成長が嬉しいのか、楽しそうに、鉛のように重くて、流星の様に手数の多い打撃を軽々と仕掛けてくる。


「くっ…!」


守ったら負ける…!

それこそ全力で、落としてしまった恋文が知人に拾われるのを必死で阻止するのに匹敵するするくらいの勢いで、攻めつつも積極的に防がないように徹する。


こっちは当てるため、師範は実力を図るためにお互いにフェイントを行うようになってきた。

決定打こそないものの、お互いにそれなりに当たってはいる。

もっとも、ダメージはこちらの方が圧倒的に大きいが。


決して気抜いたわけではない。気が尽きたわけでもない。体力もまだある。

なのに、これ以上はやれないと思ってしまった。

嫌な予感がして、後ろに跳び退いた。

師範を見ると、やはり見た事のない構えをとっていた。


「それまで!」


頃合いと思われたのだろう。


そこで師範が

「最後、何故退いた?」


「得体のしれない不安が来まして、あそこで退かないと色々な意味でやられると思いました」


「確かにな。受けきれたら大したものだが、そうはいかんだろう。正直、あのまま当たって倒れたら興醒めだったがな。だが、存分に実力を図らせてもらった。思いの外、楽しめたぞ」


お互いに礼をし、稽古を終える。


そのまま居間に移動して、お茶を飲みつつ、組手での良かった点や反省などを伝えられる。


「ぬしの勢いは良いのだがな、守りが下手だな。攻められたら守る一方になって反撃ができぬ。だから、攻めに徹したのは悪くない」


もしかしたらと思っていたけど、やっぱり守りが下手だったのか…

自分の事を好きだと思っていた人が実はそうじゃなかったみたいな。

と、まではいかないけど、ちょっとだけ傷付いた。


「まぁ、守りから攻めに転じる練習もやっていくか。明日は休み、明後日からまた来るが良い。」


礼を言い、着替えて帰ろうとすると引き止められた。


「せっかくだから、お昼を食べて行きなさい」


「もう、そんな時間か!すまんすまん」


「僕も気が付きませんでした。頂きます」


朝とは違った心地良い疲労感と空腹感で美味しい昼食を味わい、道場を後にするのであった。

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