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生きるロボ  作者: 木下美月
狂ったコト
17/26

 近頃はマシン酔いもしなくなってきて、現実と仮想現実の区別が薄くなってきた。それをアールに話してみたら、


「仮想現実に熱中出来るのも人間の才能だ」


 なんて言っていた。じゃあ僕は今まで人間ではなかったのだろうか。

 そんな事はさておき、アールが僕を心配する事が増えた。これは少し、理解出来ない。

 特にVR喫茶から帰ってきた時だ。僕は気分良く帰って来てるつもりなんだけど、必ず一言は「大丈夫か?」と言われる。

 仕事が終わった後も、「ストレスは以前より感じていなさそうだ」なんて言う割に、少し寂しげな様子だ。

 いや、アールが寂しがるわけないんだ。つまり、僕の主観。これはアールが僕を映す鏡だと言い換える事ができる。

 では僕が寂しがっているという事か。何に対して?

 自分がわからない。


「ユキ、シュウから電話だ」


 近頃は毎日の様にシュウとは連絡を取っている。

 僕はケータイを開いて通話モードにする。


『よ、ユキ。元気か?』


「それ、昨日も質問されたよ」


『はは、元気ならまた空を飛ぼうと思ってな』


「また戦闘要請?」


 僕らは連戦に連勝中だ。一体どこの無謀な物好きが戦いたがるのか。仮想現実空間内でも死ぬのは不快な筈だけど、それは僕だけか?

 いや、僕は寧ろ現実に生きたくない。

 仮想現実にずっといたい。

 だからこんなに空に執着するのかもしれない。


『いや、今日は俺と戦わないか?お互いのお願いを一つ賭けて』


「え?どうしたのさ」


『俺たちが組んで勝てない相手なんて殆どいないだろ?だからその方が面白いと思うんだ。ま、ユキに頼みたい事があるから賭けにしたんだけどな』


 僕は空を飛ぶだけで楽しんでいるし、シュウの頼みなら大体聞くだろう。だけど確かに、彼と戦ってみたいとも思った。


「オーケー。受けるよ」


 電話越しに笑った彼を訝しむ事もなく、僕は準備し始めた。

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