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第3話 貴族が嫌いな峰岸君

 「冒険者だったのか」


 「と言うかさっき冒険者とやらになったばかりなんだがな」


 ライ麦パンをスープに浸しながら喋る。

 前に座って会話しているのはさっきの騎士(名前はエミリアと言うらしい)だ。


 あの後しばらく広場にいると、続々と他の騎士が集まって来た上、何か地域住民が俺に質問やらなんやらしてきた。

 少しめんどいと思いながらも受け答えしているも冒険者と言う職業の話になったので詳しく聞いてみると、冒険者の仕事場のようなもの(ギルドと言うらしい)に案内してくれるとの事。

 で、説明を聞いた結果。中々面白そうな仕事(ファンタジー小説の冒険者とほぼ同じだった)だったのでその場で登録。

 ついでに倒したゴブリンの耳を切って持っていくといいと聞いてたので8体(人ではなく体で数えるらしい)分の耳をギルドのカウンターに持っていくと金に変えてもらえた。なにこれゴブリン美味しいな。


 そんなこんなしていると17時近かった(この世界も24時間で1日らしい)ので広場に移動して騎士と合流、そのまま飯屋に行き今に至ると言う訳だ。


 「まあ君の実力なら直ぐに上に行けるだろ。ゴブリン8体を瞬殺したんだからな」


 「あれぐらいわけないと思うんだがな」


 「…ふふっ。君は本当に面白いね」


 「どこが「エミリア!」だよってなんだ?呼ばれてるぞ?」


 声のした方を見ると、入り口に豪華な鎧を着て屈強な男4人を従えた男が立っていた。

 エミリアの方をチラッと見ると一瞬嫌そうな顔をしたが直ぐに元に戻った。

 うーん。厄介事の予感。

 男はずかずかと店に入ると俺達の座る席にやって来た。

 それとなく店員にエール(名前はエールなのに何故かラガービール)を頼む。


 「探したよ。ゴブリンに襲われたんだって?怪我はなかった?」


 「…アンダーソン様」


 「なんだい?」


 うん、これは嫌いな奴です。あ、エール来た。店員さんスゲー小さい声で「これ、エールです」て言って去っていったけど。


 「いえ。なにも」


 「そうかい?…うん?そっちのお嬢さんは?」


 「うーん。このスープうめェな。くそ、なんで水筒持ってねェんだ俺」


 は?お嬢さん?俺のこと?はっ倒すぞ。シカトだシカト。


 「おい。アンダーソン様が聞いている。自己紹介しろ」


 「てか何気にライ麦パン久々だな。最後に食ったの何時だっけ?」


 俺に言ってんのかデカブツしばくぞ。


 「えっと…」


 「お?あ、俺か」


 エミリアがこっちを見たから返事をしてやる事にするか。あーめんどくせェ。

 鞄から煙草を出し、くわえて火を着ける。

 1度煙を吐き、足を組んで煙草を挟んだまま男に顔を向けた。


 「自己紹介するんだったら自分から名乗るのが筋じゃねーんですかね。ま、世間知らずのお坊っちゃまの為に名乗ってやるよ。峰岸(みねぎし) 深雪(みゆき)だ」


 「家名持ち?貴族か!」


 「家名はあるが貴族ではないと思うんだよデカブツ君。で、あんたらは?」


 「貴様っ…」


 「待ちなさい。お嬢さん、僕の事、知らないのかい?」


 「知らんね。知り合いが少ないもので」


 それとなく空いている手をポケットに入れ、ナイフを直ぐに出せるようにする。

 もう片方の手で木のカップを掴み、エールを飲む。

 うん。イケる。


 「深雪、でいいのか?君は知らないようだから教える。この方はこの辺りを納めるアンダーソン家次期当主、レイモンド・アンダーソン様だ」


 地味にエミリアが助け船を出してくれた。ありがてェ。


 「エミリア。説明をありがとう。さて、わかってくれたかな?」


 「ふーん。貴族か…。道理で」


 嫌いな訳だ。

 そんな事を考えながらエールを飲む。

 で。出来るだけ関わらないようにしてたら奴さん、とんでもねェ爆弾を落としてきた。


 「ふむ。君、中々綺麗だね。成長したら上物になりそうだ。どうだい?家に来ないかい?」


 「はっ?殺すぞ」

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