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夢現

夢現(3)

作者: 人波夕日

夢現の3作目です。

完結します。

ふと、目が覚めると見慣れた天井が見える。毎朝眺めている天井だ。

隣を見ると2人の孫が仲良く寝息をたてている。

二人の昼寝に付き合っているうちに、自分も眠ってしまったらしい。

つい2時間ほど前に見た孫達の顔の筈なのに、とても懐かしく感じる。


最近、昼間でもやたらと眠くて仕方ない。

起きたばかりだというのに、また睡魔がおそって来る。

まだ夕方前だからいいか、と抗うことなく夢に堕ちていく。


------------------------------------------------------------


ふと、目が覚めると見慣れた天井が見える。

何十、何百、何千と見てきた夢の中だと理解する。

寝る度に訪れてるはずなのに、起きたあとは何も覚えていない不思議な夢。いや、夢の世界と言った方が正しいだろうか。

壁に立て掛けてある石を見ると既に赤から2刻ほど時が過ぎたことを示す、黄の色をしている。

その事を確認し、急いで布団から出て広場へと向かう。

今回も『仕事』を村長から受け完遂しなければこの夢からは抜け出せない。それがこの世界のルールだ。


広場に着くと、すでに人だかりができている。皆、割の良い『仕事』をもらうのに必死なのだ。早い人ほど容易な仕事があてがわれる仕組みなのだから。

しかし、この世界に訪れる度に目が覚める時刻が遅くなって来ている。最近、割の良い『仕事』をもらった記憶がない。

前回は隣村への道の整備を任された。

こちらで半月も過ごしたが向こうで目が覚めたら2時間程しか経っていなかった。3回ほど野党に襲われ死にかけもした。彼らも『仕事』なのだ。仕方がない。

孫達の顔が懐かしく感じたのも当然である。なんでまた昼寝をしてしまったんだと自分を罵りたくなる。

そうこうボヤいてるとやがて自分の番となった。

今回の『仕事』は北の洞窟を抜けた先にある街まで行くキャラバンの護衛であった。

北の洞窟とはまた懐かしい。若い頃、一度開拓に貢献した記憶がある。あの時は初めての遠征でワクワクしてたなと懐かしく思い失笑する。


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ふと、目が覚めた。

目の前では姉が眠っており寝息をたてている。

姉の奥に祖父が眠っているのが見えるが、姉の寝息しか聞こえない。

不思議に思いそっと立ち上がり祖父に近付いてみる。

そして数秒後に、私は祖父が息をしていないことに気づくのだった。


------------------------------------------------------------


ふと、目が覚めると見慣れた天井が見える。

もし貴方がこの何も変哲もない自室にふと懐かしさを覚えたのならば、今回も無事に戻ってこれたことに感謝をしなくてはならない。

夢と現は繋がっているのだから。


最後までお読み頂きありがとうございます。

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