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二話目お読みいただき有り難うございます。
父が帝都持っていた(父はもう死んだので自分の物なのだが)別荘に来た。
理由はアルトロス方伯への叙任式が1ヶ月後にあると手紙が届いたからだ。(この国では一応皇帝が爵位を叙任するという体にはなっているが、事実上親から子への継承だ。)
皇帝名義ではないが、ヴェルハルムから届いたから間違いはないだろう。
そして、今日にヴェルハルムとをちょっとしたパーティを開く。
来るのは、父とよく一緒に仕事をしていた、商会の人達だ。ただヴェルハルム以外は会ったことがないし、父に信用するなと言われている。騙されないようにする必要がある。
「シエロ様、ヴェルハルム邸へ行く準備が整いました。」
この人は父の代から、僕のお付きのメイドとして僕に仕えてきた、エーティアだ。
「うん、分かったよ。」
パーティ用の衣服に着替える。普段着よりも豪勢だからあんまり着るのは好きじゃない。普段着のままパーティに行きたかったがヴェルハルム邸に呼ばれたのだし、一応僕は今日の主役だ。
〜数分後〜
「着替え終わりましたか。」
「終わったよ。」
「 それでは馬車に乗りますよ。」
エーティアに連れられて僕は別荘を出る。すぐに戻ってくるよ、我がお城よ。寂しそうな顔をしないでおくれ。
別荘の近くは、貴族や大商人の家が多く静かだが、そこを出るととても、活気のある、ただの街だ。
後、二十数分もすればヴェルハルム邸だ。ここら辺はまだ治安がいいが、ここのさらに外円は治安がかなり悪く、浮浪者もかなりいる。ハムンウオスは、最近作った街だし、あんな辺境な街に人はほとんど来ない。とても浮浪者が来れるような場所ではない。来るなら、砂漠を越えるか、船で来るかの二択だ。
友達や親戚はいないので今日以外はパーティにも呼ばれないだろう。暇だし明日、明後日は帝都をまわろう。
まずは、アルトロス地方でも生産されている、ターコイズを加工しているところでも見に行こう。その後は………アルトロス地方にはターコイズ以外の産業はないに等しい、申し訳程度に漁業があるだけだ。
なにか、アルトロスで作れる物があるか探してみよう。決して遊びまわるのではない、作れる物をさがすのだ。
「シエロ様、そろそろヴェルハルム邸です。」
おっと、いろいろ考えているうちに着いたようだ。
「有り難う、エーティア。」
ヴェルハルム邸は帝都にある僕の別荘とは大きさがあまり変わらない。こっちの方が少し大きい。
「シエロ様、扉をお開けします。」
ヴェルハルム邸の使用人が言う。
ヴェルハルムのところの使用人は礼儀や作法がしっかりしているな。うちの使用人も見習ってほしい。といっても15人ぐらいしかいない。父の死後みんな辞めてしまった。
「ヴェルハルム様は中庭でもう来ている方たちとお話ししています。」
「有り難う」
早速中庭に向かう。
もう2人も来ているのか。真ん中にヴェルハルム、周りに顔も見たことがない、2人がいる。
ヴェルハルムがこっちに気が付いた。
「やあ、シエロいやシエロ様の方がいいかな?」
「僕はまだ方伯に正式決定していないのだし、君の方が僕の歳より2倍くらい上だ。」
「そうだね。なら、シエロでいこう。」
「そうだみんなの紹介をしよう、サンコサテル商会のパストルとアルテーム商会のグラディウスだ。」
「はじめまして、パストルだ。僕の商会は主に羊毛の加工、輸出入をしてる。以後お見知り置きを。」
パストルは自分より少し背が高いが、体格がいい、そして声が少し高い。
「俺はグラディウスだ。武器の売買を専門にしている、戦争をする時は頼ってくれ」
わお、大男だ、凄い迫力だ。声も低くてとおってる。
「は、はじめまして」
やべ、噛んだ。ここは男らしく、かっこよく。
「シエロだ。特に専門はないが、大きめの領地を持っている。なにか工房などを建てたい時は相談してくれ、少しぐらいは融通する。」
「3人とも自己紹介は終わったね、シエロ少し話があるからきてくれ。」
「なんだ?」
「商談だよ、とりあえず来て」
無理矢理奥に連れてかれる。
「実はアルトロス方伯叙任の話なんだが、少々厄介な事になった。」
「商談じゃないのか?」
「君は彼奴らの前で君の弱味になるような事を態々ゆうのかい?さらに彼奴らは商談とでも言っておかないと、聞き耳をたてるからね。」
「で、厄介な事ってなんだ?」
「あぁ、その事なんだけどどうやらフォーメントがアーノルディングをアルトロス方伯にしようとしているらしい。」
フォーメントはこの国の宰相で皇帝イムクラトルと仲が良く、この国の権力を意のままに操っている、アーノルディング
はネゴファール商会の会長だ。アーノルディングはアルトロス地方の隣にパリエトコス地方という地方を持っている。いうまでもなくネゴファール商会はフォーメントに多額の資金を提供している。
「めんどくさい事になったな。」
「でも、フォーメントも完全には宮廷の人間を掌握しきれていないようだ。早くしなければアーノルディングにアルトロス地方を取られるぞ。」
「うーん、そう言われても、僕にはライージュ商会があるし。」
「オーニスはどうやら偶然ではなく、狙われて襲われたらしいぞ。黒幕はアーノルディングらしい。」
ピクッと眉が勝手に動いたのが分かった。
「なら、彼奴の思うようにさせたくはないな。」
僕の唯一の理解者であり唯一の肉親であった父を殺したのなら復讐をしなければ。
怒りがあらわになる。
アルトロス方伯を叙任するいい方法を思いついた。
「ヴェルハルム、いい方法が思いついたよ。」
「聞かせてもらおう。」