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壱鬼桃戦(いっきとうせん)  作者: 者玖朗
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第二話「角力」


「はあぁ」


ノイノは深くため息を吐き、村の外へと向かって歩いていた。


「・・・必ず生える」


自らに言い聞かせるように、角をなでながら言ってみた。



「うわあああぁあああ!!」


大きな悲鳴が村の外の森の奥から聞こえてきた。


「なんだ!?」


ノイノは急いで森へと、音のした方へ駆けていった。




「ひでぇ・・・」



幼い鬼たちの首が転がっていた。


浜辺は赤く染まり、潮風と鉄の臭いに包まれ、鼻も目も覆いたくなる。


「何があって・・・?なに?」


ノイノは理解が追いつかず、呂律も回らなかったが


浜辺に、腰を抜かしているのか、おそらく先ほどの悲鳴の主ともとれる鬼に向かって尋ねたつもりだった。


「わからねえ・・・うちの坊主を迎えにきたらこんなことに」


涙も出ないようだった。


確かこの鬼は、マイラクと言った。


村の自警団に所属している鬼で、小さい頃遊んでもらったこともある。


「マイラクさんか?」


「ノイノか」


ノイノはマイラクに駆け寄ったが、マイラクはよろよろと


自分の子なのであろう鬼の首のところへ歩いた。


「クラク・・・」


子の名前だろうか、ぽつりと呟くが、無表情だ。


感情などどこかへいってしまったのかもしれない。


「誰が・・・誰がこんな」


言ったかと思うと、マイラクの角が輝く。


角力であった。


金色の光に包まれる。


「っ!」


あまりの眩しさにノイノは目を覆う。


光が収まり、少し経つと


クラクと言ったか、マイラクの子どもの目が開く。


「え?」


ノイノは理解が出来ず、間の抜けた声を出した。


「とうちゃ」


クラクはかろうじて声が出せる、そんな声量だった。


波の音にも




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