壱本角の鬼ノイノ
初めまして、者玖朗と申します。
稚拙な文章で読みにくいかと思いますが、
お暇つぶしになれば幸いです。
よろしくお願いいたします。
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鬼ヶ島
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黒煙が舞う。
燃え盛る火の熱気に、顔を覆いたくなる
熱い。
たった1人の男によって、島は酷い有様になった。
一体誰が…?
皆は無事なのか
なぜこのようなことを…
ノイノは様々考えたが
今は全身が痛く、気怠かった。
ーーーーーーーーーー眠い。
鬼ヶ島は自然の多い爽やかな島だった。
皆の笑い声が響き渡る、鬼の住む爽やかな島だ。
そんなある日、一人の男が島に来たーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーー鬼ヶ島:人気のない海岸ーーーーーーーー
「・・・・・」
血色の悪い顔だ、腰まである黒い長髪を口と鼻を覆い隠す手ぬぐいのようなもので後ろで束ねている男だ。
そのマスクのような手ぬぐいには、桃がひっくり返り、尖った部分が下になっている絵が描いてあった。
「・・・・・」
その男は辺りを見回している。
背中には刀身の長い刀を携えていた。
「あ!お兄ちゃん誰ー?」
海岸で遊んでいた数人の小鬼たちが、島に来た男に気付いた。
「どこから来たの?おっきい剣だね!」
屈託無く笑う小さな鬼たちに対し、道端の吐瀉物を見るような目で男は
「あ」
斬った。
首が飛ぶ。
「子供に用はない」
刀についた血を綺麗に拭き取り、島の中心部へと歩き出す。
ーーーーーー鬼ヶ島:中心部ーーーーーーー
「ノイノ、お前もようやっと15になったな」
老年の鬼が言う。
「今日はなんの用だよマシガニオのおっさん。俺、今日は帰ってツノ磨きたいんだけど」
子供でも大人でもない、まだあどけなさの残る、少年のような青年のような鬼。
彼には一本しかツノがない。正確には一本しかまだ生えていない。
「こら!ノイノ!!島長に向かってなんて口を!」
「ほっほ、よいのじゃノイラスよ。生意気な年頃じゃて。」
父親から頭にげんこつを貰っているノイノを見て、老年の鬼はケラケラと笑った。
「してノイノよ。まだ生えて来ぬのかの。」
この島の長である、老年の鬼にはらせん状に幾重にも重なった立派な二本のツノが生えていた。
「普段の行いが悪いからだな。」
ノイノの父であるノイラスもまた、象牙のような質感の立派な角を二本生やしていた。
「・・・うるせえな!話があるっつーからわざわざ親父について来たのにそんな話かよ!」
ノイノにもツノは生えていた。ほのかにエメラルドグリーンがかった太く短いツノが
頭の右側に確かに生えていた。天に向かい堂々と生えていた。
「ノイノよ、よいか。ツノとは元来二つで一つ。我ら鬼族はこの二本のツノに宝を宿すのじゃ。」
「俺がお前くらいの頃には、もうとっくに生えそろってたもんだがなあ」
二人の大人の好き勝手な言い分に、ノイノはうんざりしていた。
だからなんだ。そう言いたかった
「これから生えてくんだよ、ほっとけ!」
「あ、ノイノ待て!」
「話は終わっとらんぞ!」
ノイノは嫌になり、二人の制止を遮り部屋を出て行った。
「・・・ったく。しかしマシガニオ様、うちのノイノはどうかなっちまうんでしょうか。」
「ううむ・・・時が解決するとは思うていたが、余りに遅い。このままでは角力を扱えぬ。」
鬼族はそのツノに宝を宿す。
角力と呼ばれるその力は、宿主を離れても尚、力を発揮する。
その摩訶不思議な力を持つツノを「宝具」として崇め使用する人間もいた。
「角力さえあれば、島の民の力になれる。出稼ぎにも行けるしの。」
角力は無くてはならない鬼族のアイデンティティーとでもいうべき存在なのだ。
二話へ続く。