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星標辿り。

作者: 白ヰ

ふと夜中に思い付いたのをかきかき。のんびり街道を歩む小説も書きたいなあ。

 星標辿り。



 ――――ガララララ、と、その車輪は回る。


 ゆらりゆらりと揺れるその体。 時刻は夕方。

 馬に代わり、地竜がその籠を引く。


 「この世界はどうもこう、のんびりしすぎている気がする」


 暗い道を学校帰りに歩いた18歳。 蒔苗秋人。

 どうやら、彼は俗に言う神隠しとやらにあってしまったようなのだ。


 ふと、月の明かりすら無いような暗い道を歩いた先、気付いたら獣道。

 如何しようかと考えている内に、オークの集団に見つかる。


 そこで、殺されでもしていたら今は無いだろう。


 「オークのおっちゃん元気にしてっかなあ」


 出合ったオークたちは秋人を無碍にすることなく、己らが作ったであろう村に招いた。

 拉致したともいえる。


 あまりの非現実さに意識を失ってしまっていた秋人は、オークの村についてしばらくしてから目を覚ました。

 そして、話しかけられたのだ。


 「ダイジョウブカ、ナンデアソコニイタ」


 言葉を解するオークにたいして秋人は2度目の失神を起こし、オークたちも飽きれてしまう始末。

 結局、秋人がオークたちにたいして話しかけれたのは次の日。それも昼に差し掛かってからだった。


 結果、オークたちが忍耐強く話しかけ、秋人が自分を害さないと確信を得てから話し合い、

 不安感を乗り越えた先は田舎のおっちゃんたちを思い出すような温かい居場所。


 三年ほどその村に滞在し、オークたちとの仲は好調。

 ついでと言わんばかりに、ゴブリンやコボルト等の、低知能だと思われがちな人(?)たちともコミュニケーションを取り、貿易を学んだ。


 そしてオークから、そろそろ人は人と一緒に住んだ方が良かろう、と、告げられた。



 ガランゴロンと、竜車は進む。



 それから二年。

 臆病ながらも異世界社会人としての謎のプライドを抱え、人里に出た秋人は、その街の大きさとファンタジーっぽさに驚きながら、多種多様な人種が住むその場所に居つく。


 街の衛生は悪くはない。 現代日本よりは酷く雑多だが、秋人が家の前を掃除していた結果、住人も真似仕出し、秋人の住む町の区域は驚くほどきれいになった。

 ほかの区域は、スラムなども抱え思ったよりもひどい場所があるらしい、とのこと。


 まあ、秋人は基本家と会社を往復するだけの人生を送っていたといっても過言ではないので、異世界に来ても変わりはしなかったのだが。


 街を散策し、自作したアクセサリーや、オークとの生活で身に着けた薬草などの知識。

 それらを露店で販売し、少しずつ金策をして行く。


 俗に言うショバ代などは要らずで、自作したと思われる軟膏や食べもの等の、俗に言うおばあちゃんの知恵袋が集合したようなマーケットだった。


 そこで俗に言う一般常識を覚え始める。

 この世界では、皆が皆にやさしくするように、と、神様が言い残していったのだと。


 戦争などはもっぱら無く、せいぜいが個人の争いだという事。

 話し合いで解決するなら、と、真っ先に話し合っていくのだと。


 それでも解決しないなら、素手で殴り合え、と。


 最初、秋人はその言葉に恐怖しか感じなかった。 もしも嘘をついて一人だけ得をするような人間が合わられたらどうするのかと。

 だが、一度嘘をつくと、この世界の人間はなんとなく、直観的にそれがわかるらしい。


 誤魔化すのはいいが、嘘はいけないと、と、念押しに念押しを固めて、オバちゃんは強く言う。

 今迄誠実に、と心に言い聞かせ、誤魔化すだけにしてきた自分に、心から安堵するのであった。


 「ようやくついた……。 ドラシル南、街道沿いのマイルストーン。 せっかくだ、このあたりで野営にしようか、ソフィ、チッタ」


 「がう」 「ぴょ」


 短い返事。 この世界で秋人は、『どんな生物でも意志を伝える事ができる』。

 それだけが、彼の唯一の取柄であり、神隠しにあった際に神様にプレゼントされたはずの、贈り物であった。


 この世界の生物は少なからずどんな生物も、知能さえあれば自我を持っている。

 それこそ、ミミズと言えど、はい、いいえを選ぶことができるのだ。


 

 この世界には、マイルストーンと呼ばれる不思議な石がある。

 ほのかに発光する空中に浮いた石であり、青のような、緑のような、不思議な色をしている。

 暖かく発光し、緩やかに点滅を繰り返す。 この周りでは心が落ち着き、不思議と眠くなる。

 そして、台座と呼ばれる台形の物の上に乗っている。


 このマイルストーンは、地に落ちた星で出来た、世界の道標なのだそう。


 世界には何個ものマイルストーンが存在し、その世界の道と道を繋いでいる。 正確に言えば、マイルストーンをつなぐように道を道を作った。


 神様の言い残しによれば、このマイルストーンをすべて訪れた時、神の膝元に行けるのだという。



 俺は、伝えたかった。 神に、この世界に連れてきてくれて、ありがとう、と。

 この世界を平和な世界にしてくれて、ありがとう、と。


 故に、俺はこうしてオークと共に培った行商人の真似をしつつ、今日もまた、世界の道標を歩いていくのだ。

 増える仲間と共に、神様の御許に行くのだ。


 そして、伝えたいのだ、



 この世界してくれて、ありがとう、と。




見てくれてありがとうございました。よければ、感想や評価などを頂けるとよろこびはねておっしゃかくぞって気持ちになって次の作品への活力となります!

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