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【過労】


 神野が也沙の家の前で車を止めると、也沙は「お兄ちゃんありがと~ また宜しく~」とご機嫌で車を降りた。


 也沙がドアの鍵を開けようとすると鍵は開いていた。也沙がドアを開け「ただいま~」と言うと、奥から「也沙~ ? 早かったわね~」と母の声がした。也沙が「神野さんとこのお兄ちゃんが車で送ってくれた~」と言いながらリビングへ行くと母がソファーで横になっていた。


 母はソファーから起き上がりながら「未来ちゃんしばらく会ってないけど、元気にしてた?」と言った。也沙は「元気だよ、お兄ちゃんが作ったゲームが凄い人気で……」と話したところで母の異変に気付き「ママどっか具合いが悪いの?」と言った。


 母は「何か体がだるくて…… 悪いけど夕飯はお弁当でも買って食べて」と言って立ち上がろうとしたが崩れ落ちる様に倒れ意識を失った。也沙は「ママ! ママ! 大丈夫? ママ!」と肩を叩いても意識を取り戻す気配も無い。


 鈴々が「ママさんどうしたのだ? 死んじゃったのか?」と言うと、也沙は「縁起でもない事言わないでよ! それより救急車!」と慌てて携帯を鞄のポケットから取り出した。也沙は119番に電話して状況を説明し救急車を呼んだ。


 也沙は救急車を待つ間「ママにもしもの事があったら、あたし独りになっちゃうよ…… お願いだから独りにしないで……」と泣いた。也沙の側では「ママさんはきっと大丈夫なのだ! だから泣いちゃいけないのだ!」と鈴々も泣いていた。


 救急車が到着し也沙が改めて救急隊員に状況を説明し、母と一緒に救急車に乗り込んだ。救急隊員は「脳卒中の可能性もあるので、病院で検査しましょう」と言った。


 病院で一通り検査した結果、先生の話しでは「軽い過労でしょう、とりあえず安静にするのが1番なので、今日はこのまま入院して下さい」との事だった。


 也沙は安心したら急に力が抜け、しばらく病院の待合室の椅子に座ってぼ~ っとしていた。それから「着替え取って来なきゃ……」と也沙は家に戻った。


 家にはどうやって帰って来たのか覚えてなかったが也沙は「ママの着替えって何処にしまってるんだろ?」と母の寝室のタンスの中を探した。


 也沙は「寝巻きと下着と…… スリッパとタオルも必要? あと歯ブラシも!?」と必要な物を用意する間に冷静さを取り戻していった。也沙は「そうだ!ママの職場に連絡しなきゃ!」と母の職場に電話で状況を説明した。


 也沙は病院に戻り入院手続きを済ませ母の病室に行くと、母は点滴をされ眠ったままだった。也沙は持ってきた着替えを床頭台に置き、しばらくの間母の手を握ったまま座っていた。


 面会時間も終わるころ、看護婦が来て「何かあれば連絡しますので、帰って頂いて結構ですよ」と言われ、也沙は病院を後にした。


 帰る途中、也沙に話し掛けるのを我慢していた鈴々が「ママさん大丈夫?」と小さな声で心配そうに聞いた。也沙が「うん、過労だって」と言うと、鈴々は「過労って何なのだ?」と言った。


 也沙が「いっぱい疲れてたんだって」と言うと、鈴々は「そっかぁ~ ママさん毎日忙しいのだ、大変なのだ」と言った。也沙は「そうだね、あたしもママに手間掛けさせない様にしないと」と言った。


 也沙が「そういえばお腹すいたね、何か食べて帰ろうか、何か食べたい物ある?」と聞くと、鈴々は「ちゅるちゅるが良いのだ~」と言った。也沙が「この時間にラーメンかぁ~ 太りそうだけど行っちゃう?」と言うと、鈴々は「ちゅるちゅる食べるのだ~」と言った。



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